ホークウインド、最新作オンワードが4/29にリリースされ、AmazonUKより届きました。
今回もCDフォーマット、LPフォーマットでリリースされますが、まずCDがリリース。
今回レビューするのは、スタンダード版となるプラケース仕様のものです。
この他、ブックレットタイプのリミッテッド・エディションがリリースされますが、
まだそちらは届いておりません。一部ショップには出荷が始まっており、AmazonUK
からも5/5に発送したとの連絡がありました。
アマゾンでスタンダード・エディションを見る。リミッテッド・エディションを見る。今回も輸入版に解説を付けた国内仕様盤がディスクユニオンさんより5/30に発売予定
となっておりますが、それはリミテッド・エディションがベースとなるそうです。
国内仕様盤をアマゾンで見る。ジャケはすでに公開されていたもので、何か木の葉のコラージュして作った鎧を
まとった戦士のようなイメージ。オンワードという前向きなタイトルと
相まって力強く進んでいくという宣言のようにとれるカバーアートです。
プラケース版は通常のブックレット、バックカバー、そしてピクチャーディスク2枚
という仕様。
各曲のクレジットがブックレットに記載されているので、曲ごとの参加メンバーと
使用楽器がおおまかに把握できます。
PROG誌に掲載された各曲へのメンバーコメントも紹介しつつ収録順にレビューします。
Seasons
静かで不安感のあるSEと鐘の音が聞こえる短めのイントロから突如ギターのカッティングと
リズムが切り込み、Mr.ディブスのリードボーカルが入ってきます。ホークスらしいミドル
テンポのハードロック。ギターがボーカルラインに絡み付きつきながら力強い進行。
T.ブレイクが不参加ですが、電子音とキーボードはD.ブロックとN.ホーンが担当。
ディブスによると昨今の格差に対するデモやその政治的な背景からインスパイアされた
とのこと。作曲はR.チャドウィック/Mr.ディブス/N.ホーンの3人。
The Hills Have Ears
電子音で前曲とつながって、曲調は同じ流れでテンポアップ。ハイトーンの
リードボーカルはチャドウィック。馴染みのあるリードギターのフレーズ、
H.L.ラントンが久々のゲスト参加。同じくブレイク不参加、ホーンがベースも
プレイのためディブス不参加。
今作では、ホーンのベースプレイ率が増加し、その分ディブスの不参加曲が
多くなっています。ステージでもその傾向が強いそうです。
前作ブラッド・オブ・ジ・アースのテーマのフォロー曲で、人類が滅亡した後の
地球について書いたとチャドウィックの弁。ホーン/チャドウィック/ブロック
作。
Mind Cut
一転、爽やかなアコギのストロークに、ブロックのエレキソロが乗る牧歌的な
イントロに多重録音コーラスやパッド系の音がかぶりながら、ブロックの
リードボーカル。クレジットをみると作曲はブロックで演奏も彼のみ。
記載のないドラムはおそらくチャドウィックが叩いていると思われます。
ブロックのソロ曲はベタっぽくなりがちですが、いつになくスマートで
ホークス黎明期を思わすカントリー調も。でも、電子音はなにげに鳴ってます。
ブロックは今世界は破滅へと向かっている、人々に冷静になって一緒に考えようと
呼びかけていると解説しています。
System Check
Death Trap
既発曲。
ホークスのMySpaceページにて、2009年に公開された Death Trap 09
を初めてアルバムに収録したもの。冒頭はホークスがステージ開始時にメンバー
全員に離陸OK?というやつさ、とブロック。Death Trap は最初ホーンの
パソコンにて制作を開始し、そこから仕上げていったとのこと。ボーカルはブロックと
ディブスで歪みとイコライジング処理でアクセントをつけています。
同様にMySpaceで既発した曲は後半でボーナストラック扱いで収録されて
いますが、なぜかこの曲だけボーナス扱いにはなっていません。
Southern Cross
ブレイク作、彼らしいスローテンポでメローな曲調。控えめだが全編に電子音
の乱舞。昨年のオージツアーの際、実際に見た南十字星からインスパイア。
ブロックはシンセ演奏とクレジットされていますが、エレキっぽい音色が聞こえる
ので、ギターをプレイしていると思われます。チャドウィックが多彩な
パーッカションでオーストラリアのプリミティブな印象を重ねているようです。
The Prophecy
ブロック作、メロディアスな面を強調した佳曲。ホーンがベース、
チャドウィックのドラムということでトリオでの演奏。キーボード類は
すべてブロックがかぶせているようです。
今作はスタジオでの時間がたくさんとれていたので、この曲のようにブロックが
ソロ作のように作り込んだ曲が多いのも特徴です。
終盤はパッド系シンセをバックにギターソロ。ブロックによると人類自らが新しい
救世主となって地球を救うという未来を描いてみたとのことです。
Electric Tears
The Drive-By
ブロック作、インストゥルメンタル。Electric Tears はストリングスをバックに
マイナー調ギターソロという1分の小曲。前後の曲をつなぐ役割とという
あたりまえののデイヴの解説。ちなみに今作の曲間の多くは無音ではなく
つながっているような構成をとっています。ロングサスティンのかかった
歪んだギターがゆっくりと入ってくると、ホーンの反復ベースリフがスタート。
反復リズムの上でたんたんとギターソロ、ちょっとフリップっぽい。
電子音やサウンドコラージュが次々と現れては消えていく。作者のデイヴによると
マフィアなんかがよくやる車からの銃撃についてのイメージとのこと。
ここでCD1は終了。1、2曲目はハードナンバーですが、それ以降は
比較的落ち着いた印象で、派手さにはかけますが、メロディーや
アレンジが安定しており、飽きさせることなく聴ける感じです。
この時点でブレイク参加曲は1曲目と3曲目のみで、今作での参加率は低め。
Computer Cowards
CD2は、冒頭のポップなイコライジング処理されたピアノが一瞬
何のCDだっけ?これ?と思わせるホークスらしからぬ印象でスタート。
すぐに前のめりなギターのカッティングでホークスワールド全開に
なり、だみ声ボーカルがリードをとります。ブロック作曲、演奏はブロック/
チャドウィックの2人。ディブスによると、facebookを中心にネット上で
様々なコメントや解釈がリツイートのように広がっていくが、その
発言元に賞を与えるような機能はないね、とのこと。
Howling Moon
ブロック作の2分程度の小曲。シンセなどのSE、フリーフォームなドラム、
エレキはナチュラルトーンで You know You're Only Dreaming の
下降フレーズを弾いてみたり。チャドウィックもサウンドコラージュ曲
と言っております。
ここからボーナストラックゾーン。
Right To Decide
Aerospace Age
Death Trap 同様、MySpace で既発。キーボードに故J.ステュワートが参加、
ホーン参加前の2008年頃のスタジオ録音。共にホークス定番曲。
Right は、ステュワートとブレイクのツインキーボードで音が厚く、中間部
盛り上がりでのギターソロなど感動的。
Aerospace はリズムの切れが良く、タイトにまとまっています。ジェイソン
らしいピアノとオルガンをバッキングにディブスとブロックがリードボーカル。
Flowering Of The Rose
前2曲と同時期に録音されたインストゥルメンタル。前曲の中間部を引き延ばした
ようなスタジオ・ジャム。終盤部は Damnation Alley。
ここまでがボーナストラックで、ブロックいわく、ジェイソンとの最後の演奏
だったので収録したとのことです。
Trans Air Trucking
Deep Vents
ブレイクのシンセソロをメインにした小曲でブロックとブレイク作。
演奏もその2人。ブロックによるとちょっとしたジャムだったが
マジック・モーメントが生まれたよ、とのこと。そしてSEのつなぎ。
Green Finned Demon
2010年、ホークスのオフィシャルサイトでダウンロード販売された同曲と
同じかと思いましたが、ミックス、ドラムサウンドなどが異なります。
続いてシークレット・トラックが最後に収録されています。前曲との
間には長い時間は設けていないので、前曲終了後すぐに始まります。
これもジャムって感じで、ハードなギター、ブロックの語り調な
ボーカルが5分ほど続き、その後シンセによる電子音のコラージュ。徐々に
静かになって不意に終わります。
CD1の流れはアルバムとして自然な感じですが、CD2はサウンドコラージュ
的な曲が多く、ボーナストラックを間に挟んでいたりするので
やや散漫になった感じはあります。そういう意味で全体感が際立つような
コンセプチュアルな印象はありません。とはいえ、ホークスらしさが
随所にあり前作から2年という、最近のホークスにしては早いインターバルで
届けられた新作という観点から多少散漫でもファンとしてはまずまず
満足のいく作品ではないでしょうか。MySpaceで配信しているテイクの
一部やダウンロード販売曲が収められたのも良いですね。
ちなみにこのOnward、AmazonUKのハードロック部門では
現在売り上げ1位となっております。
この新作が無事発売され、元気なホークスに火が入り、アルバムの
プロモーション・ツアーを今月開始。5月25日のドーセットを皮切りに
UK国内11カ所をツアー。6月下旬、8月もすでに2ステージブッキング
されています。