T.ブレイク復帰ギグ、D.ブロックのインタビューなど

新作 THE MACHINE STOPS は TEAMROCK のThe Progressive Music Awards 2016 のアルバム・オブ・ザ・イヤーにノミネートされたものの、受賞はできませんでした。レセプション会場にブロック船長は出席していました。

日本では ATOMHENGE の再発群、UA期の諸作品は続々とリリースされてきましたが、なぜか近年で最も話題になった新作の国内盤はリリースされないという事態がホークスらしいですけど。ちなみにウルトラヴァイブから帯付けただけアルバムはわずかですがリリースされましたが、あれは正規発売とは言い難いですし。

アルバム発売に伴う4月のUKスプリングツアーは、D.ブロック、R.チャドウィック、Mr.ディブス、N.ホーン、H.ウィートンの5名で実施、昨年までの鍵盤担当のT.ブレイクはソロ活動に専念するためにアルバム収録前に抜けており、さらにD.フレッドが体調不良のため抜け、ステージでは、ホーンが鍵盤に専念していました。新加入のベーシスト、ウィートンのプレイはフレージング、ドライブ感などファンの間で評判良いです。

5月にはギリシャで2ステージ。6月にはスエーデンのフェス、7月にはドイツとイギリスのフェスに参加。この7月のステージではブレイクがテルミンとショルダーキーボードで復活していました。今後も継続参加するのか不明です。でもブレイクさんがいないとなんか物足りないので、復帰大歓迎ですね。

その7月の英国ランブリン・マン・フェアの様子
チャドウィックさんがリードボーカルの Silver Machine
Hassan I Sabbah

ホークウインドのリーダー、デイヴ・ブロックのインタビュー記事が先月、TEAMROCKに掲載されました。今回のインタビューはデイヴのプライベートな面についての内容で興味深いものです。
子供の頃、学校の美術の先生よりニューオリンズジャズの魅力を教わったとか、若い頃の南仏でのストリートミュージシャン時代はロマンチックなものではなく、寝泊まりはビーチで寝袋と、大変だったとのこと。
住まい兼スタジオとなっているデボンの農場では家畜を飼育しているが、時には処分することもあり、そういう辛い面も含めて様々な経験があるとのこと。
また政治的であるかについては、とても難しい問題であり自分ひとりの力で変えられるものではないと語っています。
またバンドのリーダーという立場では、厳格だし効率的であるように、奥さんのクリス・テイトとバンドを様々な面でマネージメントしているとのこと。
もっとも誇れることは、長生きした両親のこと。デイヴの父は100歳、母は94歳まで生き、その晩年の面倒を長年見てこれたことを喜ばしいと考えていると。
じぶんは成功者だと思っていないし、でなければこんなありふれた農場に住んでいないよとのこと。
将来墓碑銘には偉大な音楽家として刻まれたいとのこと。みんなに口ずさまれるようなジャズのスタンダードのような曲を作ったミュージシャンになりたいとのことです。

デイヴ・ブロック新作ソロ BROCKWORLD レビュー

2016年3月にリリースされたデイヴの6枚目のソロアルバム。前作 LOOKING FOR LOVE IN THE LOST LAND OF DREAMS が2012年のリリースでしたので、かれこれ4年ぶりとなるリリース。ホークスの新作レビューと前後してしまいました。順序からいうと、こちらが先にリリースされています。

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リリースはHAWKWARD RECORDS、自主レーベルのようです。前作LOOKING FOR LOVE IN THE LOST LAND OF DREAMS はソロアルバムらしく趣味性が強く、様々なアウトテイクの寄せ集め的要素から、散漫な印象になってしまったこともあり、実を言うと今回あまり期待していませんでした。

しかし自分の勝手な予想に反して、今作は前作に比較すると全体的に統一感があり、各曲ともソロにありがちなまったりした感じが少なく、今までの作品と比較しても、かなり良い出来だと思います。

アルバムカバーはホークス新作のカバーも担当したマーティン・Mによるもの、参加メンバーはホークスからチャドウィックが15曲中、7曲にドラムで参加。ホークスに加入したばかりのハズ・ウィートンがベースで1曲に参加。他は全てブロックが演奏。ライナーノーツに近々リリースされるホークスの「THE MACHINE STOPS」収録曲の習作も含まれると記載されています。デジパック仕様の中身は以下。左のデイヴの写真が写っているのは、ブックレット。各曲の歌詞は掲載されていません。

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1曲目、Life Without Passion、ミドルテンポのハードロック、イコラインジングされたブロックのボーカルがカッコ良く、電子音の洪水の中、曲が重厚感を伴い突き進んでいきます。曲調はホークス曲と言っても良いくらいです。ホークスの新メンバー、ウィートンのベースが良い感じ。チャドウィックは参加していないようですので、ドラムは打ち込み。2曲目 Is No Life At All はこの曲のエンディング部を抜き出し別アレンジにしたもの。ほとんど変わりませんが。

3曲目はこもったホンキートンクピアノのかわいらしいメロディの直後、極端なハードリフによるインストルメンタル Manipulation、合いの手のオルガンと後半のベースが印象的。フェードアウト。

Domain Of Those That Fly、サーフロックのような軽快なリズムで始まり、ブロックのボーカルで進みますが、途中ブリッジが入ると、アコーディオンやら犬の声や鳥のさえずり、拍手、電子音で終了する変な曲。続いてストリングス、また鳥の声、ブロックの語りというイントロ、そして「ロボット」を思わせるヘビーリフ曲Ascent Of Man。

風の音がつなぎとなり、次曲 Magnetism、シンセシークエンスとミュートしたギターカッティングが絡みあう。シンセのキラキラした音色が印象的。曲は途中でブレイクし、語り調なボイスとが入り、終わってしまう。

続く Getting Old And A Single Man ダルなフレーズが繰り返されつつジャージーな感覚、ミドルテンポで進んでいるとハードロックに変化、短いながらも変化に富む内容。続いてタンゴ調ピアノ(おそらく打ち込み)が演奏されます。この曲は新作 THE MACHINE STOPS」にも使われています。

重厚なヘビーリフが繰り返されるHorizons。インストルメンタルでアルバム中いちばん長い曲、と言っても5分程度。

機関車のSEに続いてアップテンポな佳曲 Unity。ブロックのボーカルは相変わらず歳を感じさせないハリのある歌声。

低音シークエンスにデイヴの語りの小曲 The End からドローンの唸りのイントロを持つ Leviathans Of The Air ではデイヴのロングサスティンなギターソロが印象的。一変してメロディアスなギターソロに導かれる Falling Out Of Love は「スピード狂のロックンロール」を思い出させるようなポップな曲。後半バイオリンが鳴っていますが、もしかしたらデッド・フレッドの演奏かも。

電子音の奔流にアップテンポなリズム、The Age Of Psychedelia。後半デイヴのアコギによるアルペジオでフェードアウト。最後の The Patientも電子音、SEが多用されつつ、リラックスムードのバック演奏の上でスティールギターのソロ、シンセソロと演奏が流れるように続く。このあたりの曲調はホークスでは出てこないムード。brockworld002

バラエティに富みつつ、ホークスらしい電子音とキーボードシークエンス、ウネウネするギター、ラブ&ピースな温かみの加味されたサウンド。完成度という点ではホークスの新作には及びませんが、今年75歳を迎えるデイヴのなおも進化するロッカー魂に感服するしかない作品と言えるでしょう。

デイヴ・ブロックのTop10アルバム

昨年、英音楽情報サイト LOUDER THAN WAR にデイヴのトップ10アルバムが紹介されました。取材者はホークス本 (SONIC ASSASSINS/2004 SAF Publishing Ltd.) 作者のイアン・エイブラハム。
50年代のジャズから60年代R&B、ジミヘン、ドアーズ、ザッパ、90年代以降はフィンランドのエクスペリメンタル CIRCLE、フランスのメタル PRIME SINISTERなど、実に幅広くまた若手バンドまでカバーする素地の広さです。
記事内ではホークスの新作は英文学のE.M.フォースター (1879-1970) の1909年のSF短編 THE MACHINE STOPS (機械がとまる)をベースにして制作中とのことです。ディストピア系SFの元祖のような小説で、テクノロジーに依存しすぎた近未来社会における人間性の欠如に対する警鐘というものです。