Hawkwind ニューアルバムINTO THE WOODS全英34位確定

今週の全英Official Chartsが発表されました。
ホークウインドの新作INTO THE WOODSは34位と、前作に続きまたまた健闘しています。内容の良さに比較して、地味なジャケットのため案じていましたが、がんばりました。
ロック&メタルアルバム部門では堂々の2位となっています。

Officiak Charts アルバム部門
Rock & Metalアルバム部門

トップ40入りは前作29位に続き、82年のCHOOSE YOUR MASQUES(29位)以来の出来事ですが、今作も日本ではほとんど知られず、メジャーリリースもないという状況です。

タワレコでINTO THE WOODSを見る

INTO THE WOODS CD版レビュー

Hawkwind / INTO THE WOODS CD cover
CHERRY RED RECORDS CDBRED700
なぜかCDよりもアナログ盤の入荷が早かったホークウインドの最新作INTO THE WOODS、いよいよCDも国内に入荷しました。LPと同じくタワレコで入手しました。内容は先日紹介しましたアナログ盤と同じです。
カバーは前作THE MACHINE STOPSと同じデジパック仕様です。いつものパターンですと、初期限定でデジパックがリリースされ、その後ジュエルケース版が通常版として発売されるという流れですが、前作は今のところデジパックしかない状況です。
CD版のブックレットには歌詞が掲載。LP版にはなかったイラストが載っています。カバーの内側はLPカバーの内側と同じイラスト。
Hawkwind / INTO THE WOODS
デジパックの内側とブックレット

内容はアナログ版でレビューしたように前作にも増してアグレッシブな作品ですが、このジャケの印象が地味すぎるので注目されにくいかもしれません。
Hawkwind / INTO THE WOODS
テーマとなっている森に棲む妖精が描かれ裏カバー

なおホークスは3月から散発的にステージを行なっていましたが、このアルバムの本格プロモーションツアーが11日から開始されます。16回のギグを5月中に全英で一気に行うハードロードです。
Hawkwind Roundhouse Flyer 2017
45年ぶりに出演するラウンドハウスのフライヤー INTO THE WOODS のカバーの妖精
ハイライトは26日、72年にあのグリージィートラッカーズパーティが実施された名門ラウンドハウス、45年ぶりの出演です!サポートアクトはMOTERHEADのフィル・キャンベルのバンドPhil Campbell and the Bastard Sons。
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ホークウインド2017年最新スタジオアルバム INTO THE WOODS 最速レビュー

公式では5月5日発売予定とされていますが、このところCHERRY RED RECORDSのリリースは、発売予定日よりも早く日本に入荷するので、前作の入荷が早かったタワレコでチェックしていたところ、早くも先週に最新作INTO THE WOODSのアナログ盤のみ入荷しました。23日現在、CDはまだ入荷していないとのことでした。

2枚組LPレコードのカバー CHERRY RED RECORDS BREDD700

それにしても早いです、英国内の出荷より輸出分の出荷を優先しているとしか思えません。
今作は、CD1枚とLP2枚組の2バージョンというシンプルなリリース形態です。

まずクレジットを見ると参加メンバーに変化があり、なんとナイル・ホーンの名前がありません。今年の3月、4月のステージの様子がYoutubeに上がっていますが、ナイルは不参加の模様。以下メンバークレジットです。
Dave Brock Vo/Gt/Key/Syn/Theremin
Haz Wheaton B/Key
Richard Chadwick Dr/Perc/Vo
Mr Dibs Vo/Key/Syn
Magnus Key/Gt
Big Bill Barry Fiddle

Mrディブスは、ボーカル2曲、キーボードで2曲という、控えめな参加となっていますが、ステージにも参加しています。
キーボードのマグナスという人の詳細は不明、THE ENIDやS.ハケットバンドに在籍していたニック・マグナスという線も(ソロアルバムがESOTERICからリリースされている)考えましたが、多分違います。
Youtubeに上がっている映像を見ると、若手のキーボードプレイヤーがナイル・ホーンに代わってステージに上がり、ギターも弾いているので、それがこのマグナスという人の可能性が濃厚。この人とフィドル(バイオリン)プレーヤーがゲストっぽい感じですが、今後パーマネントなメンバーになるのか、いずれ判明するかと思います。

見開きカバーの内側

クレジットには、マシーン・ストップスの続編的なものと記載されているこのアルバム、上記の参加メンバーの基本ユニットであるブロック/ウィートン/チャドウィックのトリオが核になったシンプルなロックバンドとしてのソリッドな演奏が最大の特長。
前作までの緻密な音作りや効果音を含む印象的な情景描写は、今となってはホーンの果たす所が大きかったと思われます。
新加入のベーシスト、ハズ・ウィートンの繰り出すフレーズと強いドライブ感が本国のファンには好感を持って受けいられていますが、そのウィートンのスタイルが今作の肝となっています。当然ホークスのお家芸である乱れ飛ぶ電子音やプログレっぽいパッド音も使用されていますが、それらの印象が弱くなるほど、パワフルでソリッド感のある演奏が全体を支配しています。ウィートンのプレイが結果ブロックを刺激したとも考えられます。
年々、多くの伝説的プレイヤーが亡くなっていく昨今、ブロックやニックについても、いつそんな時がきてもおかしくない年齢ですが、この最新作はデイヴ・ブロックの堂に入ったロッカーとしてのアグレッシブな姿勢が力強く示されている力作で、世界中のファンにとってまた嬉しいプレゼントになると思います。

オープニングは、前作の最後に現れた悲哀感のある印象的なパッセージに似たアコピの演奏から始まり、アルバムコンセプトが前作の続編であることを告げます。14秒ほどで突如ミドルテンポの重い5拍子リフが開始。1分強の長いイントロでウィートンのベースの牽引力を感じさせます。リードボーカル、一瞬これ誰?と思いますが、すぐにブロックだと気がつき、エフェクトを通した濁声でハード感を増長しています。緑の森の奥から手招きをするおどろおどろしい森の精を演出しています。中間部のワウをかけたブロックのギターソロもかなり荒々しい。
前作THE MACHINE STOPSの原作には続編はありませんので、今作はホークスの解釈による続編ということになります。アルバムカバーは森の中のストーンサークル、ジャケ内側には緑に覆われた都市の情景が広がっています。前作のエンドでテクノロジーの崩壊を経た世界がその後、自然力によって緑に覆い尽くされ、そこには人間を超越した自然のスピリッツが支配する世界となった、というようなストーリーかと思います。
6分過ぎでオープニングトラックはフェードアウト、続いてスローテンポの寂寞感のあるバラードCottage In The Woods、引き続きブロックのペンによる曲、森の中のコテージに囚われた人間が歌われます。3分ちょっとで、続くインストThe Woodpecker、チャドウィックによるキツツキをまねた効果音が印象的。そしてブロック/ウィートン/ディブス/チャドウィック共作のHave You Seen Them? ボーカルはチャドウィックとディブス、曲調が少し明るくなり高めの声域を生かした流れるようなコーラス、しかしリズムは重く引きずり、ハードリフが続きます。ミドルテンポながらホークスらしく反復に電子音、コーラスが戻り不意に終了、7分強。
アナログ盤ではここでA面終了。
しかし入荷の関係とは言え、新作をアナログ盤から聴くっていうのは、実に久しぶりな体験です。このレコードを裏返すという作業がまた次はどんな曲が?ワクワクします。CDだと一気に聴ける良さがありますが、この面を裏返す時の感覚はやはりいいものです。

Ascentはストリングスのパッド系サウンドをバックにブロックがスローに歌い上げます。アコギがバックで奏でられ美しい肌触り、ここでもベースは骨太く演奏されスローながら締まった印象。最後アコギだけになり終了。続いて上昇シンセ音に導かれたメロディアスなナンバーSpace Ship Blues。シルバー・マシーンのレプリカソングのような歌詞で、バンジョーやバイオリンがフォークロックさながら楽しく演奏されていきます。クロスフェードする形で次曲The Windの森の中の効果音が入ってきます。ブロックの朗読。多彩なパーカッション群、森の動物、鳥類の声、中間から反復リフ、リズムだけが残り、次第にフェードアウト。

C面に移り、いきなり元気よくハイテンポなVegan Lunch。ベジタリアンなランチをブロックがノリ良く歌う曲、中間部の流れるような間奏が美しい。4拍子ながらシンコペを使ったリフと流れるような進行部分との対比が楽しいトラック。続いてシンセの高速アルペジオの上でブルースが展開するMagic Scenes。泣きの強い曲ですがストリングスに頼らず、ギター中心に盛り上げています。シンセアルペジオが残り、その後アコギのアルペジオが主役となり泣きのコード進行が続くDark Land。ここでもパッド音は脇役で主体はギター。

D面は木の精を歌ったWood Nymph、流麗なAメロに対して、Bメロは重々しいリフ。ブロックらしい展開。森の効果音にディブスのつぶやき、Deep Cavernというタイトル通り、暗い森の洞窟を思わせます。
エンディングはハイテンポで疾走、その名もMagic Mashrooms。3ピースの演奏とオルガンによるタイトな演奏。中盤のリフがDuglas In The Jungleを思い起こせます。しかしブロックさん、今回は弾きまくってます。
最後ディストーションギターがかぶって終了、歓声が入ってきてライブ風演出。長めでシリアスに攻め立てた曲ですが、拍子抜けする効果音が。これはアルバムを聴いてみてください。

白の穴開きスリーブ ビニールは最近定番の180g仕様

専任のキーボディストがいないこともあるかと思いますが、トリオの演奏が主役となり、ブロックがギターに徹したことで、このアグレッシブさが出たと思います。前作はアレンジや音色の多彩さが特長的で、今回はタイトでストイック、ロックバンドらしい印象で、好みによって評価が分かれそうです。
まぁでも、個人的にはブレイクさんには戻ってきてもらい、冷ややかなストリングスと派手な電子音はつけてもらいたいですが。
カバーは内容のパワフルさに対して地味で落ち着いてますので、マッチングは良くないです。近作を手がけるマーティンM作です。
アナログ盤とCD盤は同内容みたいです。CDも入手しましたらレポートします。

HAWKWIND / INTO THE WOODS
CHERRY RED RECORDS / BREDD700
Produced by BROCKWORLD
Engineer : DAVE BROCK

SIDE 1
1. INTO THE WOODS -Brock
2. COTTAGE IN THE WOODS -Brock
3. THE WOODPECKER -Brock/Chadwick
4. HAVE YOU SEEN THEM? -Brock/Wheaton/Chadwick/Darbychire

SIDE 2
1. ASCENT -Brock
2. SPACE SHIP BLUES -Brock/Wheaton/Chadwick
3. THE WIND -Brock/Chadwick/Wheaton

SIDE 3
1. VEGAN LUNCH -Brock
2. MAGIC SCENES -Brock/Chadwick/Wheaton
3. DARKLAND -Darbychire

SIDE 4
1. WOOD NYMPH -Brock/Wheaton/Chadwick
2. DEEP CAVERN -Darbychire
3. MAGIC MUSHROOMS -Brock/Wheaton/Chadwick
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Hawkwind 最新スタジオアルバム Into The Woods

昨日11月24日は、44年前の同じ日、名作 DOREMI がリリースされた日でした。

本年リリースの THE MACHINE STOPS のツアーの後、6〜7月にフェスに参加、以降はしばらくギグの予定がなかったのですが、facebook のオフィシャルアカウントで新作制作中との告知がありました。INTO THE WOODS というアルバムタイトル、一部抜粋が公開されています。
制作は順調に進んでいるようで来年早々にはリリースとのアナウンス。
スタジオのスナップ写真には新ベーシストのハズ・ウィートンの姿も。
それにしてもこのタイトル、ディズニー映画のそれか、ブロードウェイミュージカルの同タイトルかって、感じですが、まったく関係ないのか今のところ不明です。いずれにしても「森の中へ」の森が何を指しているのか、自然回帰的な方向は以前もありましたので、そちらのような気もします。
下記一部抜粋部分を聴くと、従来通りのサウンドです。


新作 THE MACHINE STOPS チャート29位の意味

先週金曜に最新のアルバムチャートに更新されましたが、トップ100圏外になってしまいました。引き続きロックアルバム部門では5位と健闘中。

http://www.officialcharts.com/charts/rock-and-metal-albums-chart/

先週のウイークリーチャート29位というランクですが、Top30圏内に入ったのは82年の「チューズ・ユア・マスクス」以来、実に34年ぶりになります。

ホークスの本国でのチャートインの歴史は同じ「オフィシャルチャート」でもデータベース化されているので、以下で見ることができます。

http://www.officialcharts.com/artist/14630/hawkwind/

シングルとアルバムに分かれていますので、アルバムを見ると、今回の29位チャートインがいかに快挙か、分かるかと思います。

本国でのツアーは先週25日のプレストンのギルドホールで終了しました。この日ステージでは29位チャートインの話も出ました。またレミーが亡くなって4か月経つこともあり、レミー作の「ザ・ウォッチャー」(「ドレミファソラシド」)が演奏されました。最近のステージも日本公演を思い出させるようなムードで、よりエネルギッシュな印象が増しているようです。特に新加入のハズ・ウィートンのベースはかなり評判が良いです。彼の演奏がバンドにさらなるドライブ感をもたらしています。

ホークスは今月はギリシャ、その後6~7月は北欧を含むヨーロッパ各地での公演が予定されています。米国は98年以降一度も行ってませんが、数年前に中止になった際入国審査が面倒とブロックさんが言っており年齢からするともうUSツアーはないかもしれません。

デイヴ・ブロック新作ソロ BROCKWORLD レビュー

2016年3月にリリースされたデイヴの6枚目のソロアルバム。前作 LOOKING FOR LOVE IN THE LOST LAND OF DREAMS が2012年のリリースでしたので、かれこれ4年ぶりとなるリリース。ホークスの新作レビューと前後してしまいました。順序からいうと、こちらが先にリリースされています。

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リリースはHAWKWARD RECORDS、自主レーベルのようです。前作LOOKING FOR LOVE IN THE LOST LAND OF DREAMS はソロアルバムらしく趣味性が強く、様々なアウトテイクの寄せ集め的要素から、散漫な印象になってしまったこともあり、実を言うと今回あまり期待していませんでした。

しかし自分の勝手な予想に反して、今作は前作に比較すると全体的に統一感があり、各曲ともソロにありがちなまったりした感じが少なく、今までの作品と比較しても、かなり良い出来だと思います。

アルバムカバーはホークス新作のカバーも担当したマーティン・Mによるもの、参加メンバーはホークスからチャドウィックが15曲中、7曲にドラムで参加。ホークスに加入したばかりのハズ・ウィートンがベースで1曲に参加。他は全てブロックが演奏。ライナーノーツに近々リリースされるホークスの「THE MACHINE STOPS」収録曲の習作も含まれると記載されています。デジパック仕様の中身は以下。左のデイヴの写真が写っているのは、ブックレット。各曲の歌詞は掲載されていません。

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1曲目、Life Without Passion、ミドルテンポのハードロック、イコラインジングされたブロックのボーカルがカッコ良く、電子音の洪水の中、曲が重厚感を伴い突き進んでいきます。曲調はホークス曲と言っても良いくらいです。ホークスの新メンバー、ウィートンのベースが良い感じ。チャドウィックは参加していないようですので、ドラムは打ち込み。2曲目 Is No Life At All はこの曲のエンディング部を抜き出し別アレンジにしたもの。ほとんど変わりませんが。

3曲目はこもったホンキートンクピアノのかわいらしいメロディの直後、極端なハードリフによるインストルメンタル Manipulation、合いの手のオルガンと後半のベースが印象的。フェードアウト。

Domain Of Those That Fly、サーフロックのような軽快なリズムで始まり、ブロックのボーカルで進みますが、途中ブリッジが入ると、アコーディオンやら犬の声や鳥のさえずり、拍手、電子音で終了する変な曲。続いてストリングス、また鳥の声、ブロックの語りというイントロ、そして「ロボット」を思わせるヘビーリフ曲Ascent Of Man。

風の音がつなぎとなり、次曲 Magnetism、シンセシークエンスとミュートしたギターカッティングが絡みあう。シンセのキラキラした音色が印象的。曲は途中でブレイクし、語り調なボイスとが入り、終わってしまう。

続く Getting Old And A Single Man ダルなフレーズが繰り返されつつジャージーな感覚、ミドルテンポで進んでいるとハードロックに変化、短いながらも変化に富む内容。続いてタンゴ調ピアノ(おそらく打ち込み)が演奏されます。この曲は新作 THE MACHINE STOPS」にも使われています。

重厚なヘビーリフが繰り返されるHorizons。インストルメンタルでアルバム中いちばん長い曲、と言っても5分程度。

機関車のSEに続いてアップテンポな佳曲 Unity。ブロックのボーカルは相変わらず歳を感じさせないハリのある歌声。

低音シークエンスにデイヴの語りの小曲 The End からドローンの唸りのイントロを持つ Leviathans Of The Air ではデイヴのロングサスティンなギターソロが印象的。一変してメロディアスなギターソロに導かれる Falling Out Of Love は「スピード狂のロックンロール」を思い出させるようなポップな曲。後半バイオリンが鳴っていますが、もしかしたらデッド・フレッドの演奏かも。

電子音の奔流にアップテンポなリズム、The Age Of Psychedelia。後半デイヴのアコギによるアルペジオでフェードアウト。最後の The Patientも電子音、SEが多用されつつ、リラックスムードのバック演奏の上でスティールギターのソロ、シンセソロと演奏が流れるように続く。このあたりの曲調はホークスでは出てこないムード。brockworld002

バラエティに富みつつ、ホークスらしい電子音とキーボードシークエンス、ウネウネするギター、ラブ&ピースな温かみの加味されたサウンド。完成度という点ではホークスの新作には及びませんが、今年75歳を迎えるデイヴのなおも進化するロッカー魂に感服するしかない作品と言えるでしょう。

新作全英チャートで今週暫定18位の快挙!

ホークウインドの新作 THE MACHINE STOPS ですが、今週イギリスのオフィシャルチャートで4/18時点で18位でランクインしました。このオフィシャル・チャートですが、アルバムのCDとデジタルダウンロードを総合した販売数でランキングしていますので、れっきとした正に公式なものです。

 

以下オフィシャルチャートの最新版へのリンクです。順位が変わるとアップデートされます。

http://www.officialcharts.com/charts/albums-chart-update/

金曜に今週の集計が出ますので、どんな順位になるのでしょうか。この18位は瞬間風速かもしれませんが、ファんにとっては素直に嬉しいですね。週末の正式版ウイークリーチャートに注目したいと思います。

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HAWKWIND- THE MACHINE STOPS 各曲レビュー

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今回のリリースはCD1枚とLP2枚組でリリースされています。LPの内容はCDと同じとのこと。まずはCDを入手しました。今出回っているのは、デジパック仕様です。

今回は英作家E.M.フォースターが1909年に発表した短編SF「機械が止まる」をベースにしたコンセプトアルバム。フォースターはSF作家ではなく、純文学の作家ですが、この小説は「Machine」に支配された人類を描いた作品であり、書かれた年代を踏まえても一般的なSF小説としても良くできた作品だと思います。

邦訳は1964年のSFマガジン、1996年のフォースター著作集5「天国行きの乗合馬車」(みすず書房)で紹介されているだけで絶版となっており、古本も高価です。自分は後者を図書館で借りて読みました。

直前作「Spacehawks」(2013年)は、再録曲、リミックス、新曲などのコンピレーション作品でしたので、ホークスのスタジオアルバムとしては、2012年の「オンワード」以来の作品となります。アルバムからのシングルカット「A Solitary Man」が7インチビニールで5月27日リリース予定。アルバム発売に先駆けてプロモーション動画も公開。デイヴがボーカルのアップテンポなメロディアスなナンバー。

アルバムカバーはここ数年(2010年の「BLOOD OF THE EARTH」から)ホークスやデイヴ・ブロックのアルバムカバー、プロモーションビデオの制作を手掛けている周辺バンドKRELのリーダー、マーティン・マクギネス。KRELは2000年前後に2枚のアルバムをリリースしていますが、それ以降はリリースがありません。当時、同じくホークスフォロワーだったSAPCEHEADのMrディブス(現ホークス)が参加したりと交流がありました。

そのマーティン・Mによるカバー、ブックレット共、フォースターの小説のイメージに沿ったデザインになっています。「機械が止まる」は作者のフォースターが、H.G.ウエルズのユートピア的作品に反発して書いたと言ってるように、Machineに支配され人間性を失った人類を描いたディストピアを描いた作品。

オープニング All Hail The Machine は、一人一人にコンパートメントをあてがわれた人類が、常に耳にしているというMachineの鳴動をイメージさせるSEからスタート。ブロックとディブスの作曲。突如重低音と電子音シークエンス、ディブスの語りはMachineを崇拝する人類の声。カルバートの語りのようです。複数の声で「マシーン万歳!」が連呼され、2曲目 The Machine が勢いよく始まります。ホークスのアルバムオープニング定石通りのカッコイイ系突っ走り曲。ボーカルはディブス、Aメロと並行してデイヴのギターソロが続く、中間部やや単調なギターリフ、そしてギターソロ、突っ走りが高揚感を盛り上げ、その後Aメロが戻りエンディング。Machineに全て管理され地下で生活している人類、その異常さに気づいた主人公クーノーの疑問が歌われます。ブロック、ディブス、チャドウィック作。これ、久しぶりに名曲かも。次の Katie は1分弱のシンセの流れるようなキレイな曲、ブロック作。つながる形で次曲 King Of The World、ドラムと共にハードなギターリフ、すかさずブロックのボーカル。ベースはホーンにチェンジ。2分50秒ほどで終了し、バラード調の In My Room に続く。シンセの重厚なコード進行に乗せてブロックのリードボーカル、突如曲が途切れて、さめざめとしたシンセのパッド音、雷雨のSE、主人公クーノーが垣間見た地上の印象が描かれているようです。ここまでオープニングからほぼ切れ目なしに続いています。少しの静寂の後、スローで重々しいコード進行に導かれた Thursday、前曲同様、ブロック、ホーン、チャドウィックの演奏。中間で演奏の流れが途切れ情景描写に、シンセコード、SEなど目まぐるしく変わる。今作では、このように曲の変化が多彩でコンセプトアルバム然とした作りが特徴、深みを感じます。

続いて威勢の良いメロディアスなチューン Synchronised Blue。「アライヴァル・イン・ユートピア」や「ライト・トゥ・ディサイド」系の楽曲、中間も定番のハードリフでストイックに攻めつつ、シンセが唸ります。デイヴのリード・ボーカル含めてどこもどこかで聞いたことのあるフレーズですが、これがホークスの真骨頂ですね。間奏からブリッジ挟んで、Aメロが戻るあたり、かっこ良すぎですね。最後はフェードアウト。

続く Hexagone は、デッド・フレッドの一人曲。スローテンポのラブリーな小曲。キーボード類とボーカルもフレッドがプレイ。クーノーの母が乗った飛行船の旅のイメージを歌ったもので、ブックレットの同曲の歌詞掲載ページも海の上を飛ぶ飛行船のイラスト。クレジットを見るとフレッド参加曲はこの曲のみとなっていますが、次の曲でバイオリンの音色が聞こえるので、それも彼が演奏してるのではないでしょうか。

浮遊感のある電子音に導かれてブロックの歌声から始まる Living On Earth は、流麗な楽曲で、ブロック、ディブス、チャドウィックの演奏。シンセ中心の演奏に電子音が流れ、文字通りスペースロックが展開されていきます。中間部のバイオリンの演奏もリズミカル、アルバムのハイライト。心地よい演奏がフェードアウトすると、銅羅の音とともにシンセシークエンス、サンプリングされたha-he-という声。ホーン一人曲 The Harmonic Hall、来日公演でHe Ha!と紹介された曲ですね。ステージではホーンがMacを操作していました。Hassan i Sahba を彷彿させる中近東なフレーズ。今回、曲の配置も自然で全体の流れがスムーズ。

1分程度の小ピース、Yum-Yum はコンパートメントの中、アームチェアに包まれて過ごす人類の味気ない食事のイメージでしょうか。続いてクーノーの孤独な心情を歌ったポップでブルージーな A Solitary Man。アルバムに先駆けてネットで公開された曲で、来月には7インチビニールでシングルカットされる予定。ブロック、ディブス、チャドウィックの演奏。フェードアウト後は電子音、不穏なフレーズ、一変、明るいテーマとなって軽快なピアノとブロックのコーラスが遠くに流れるリラックスムードの曲 Tube に。新メンバー、ハズ・ウィートンのベース、チャドウィックのドラム、その他はブロックが演奏。物語のクライマックス、Machineが停止しチューブには困惑した人々が逃げ道を探して殺到し、その後の人間性の回帰を確信するポジティブなイメージ。

最終曲も同じ3人での演奏。大団円に向けてアップなハードナンバー。歌詞パートの後にブロックによる語り。Machineによる管理の終焉、最後に皮肉を込めた「マシーン万歳」が唱えられ終了。最後のサンプリングピアノのよる演奏は、ブロックのソロ「BROCKWORLD」収録の The Last Tango。

アルバム全体の統一感があり、完成度の高さを感じます。いつもよりデイヴのコントロールが強い感じがしますが、それが成功したと思います。先月リリースされたブロックのソロと比較して、やはりホークス名義ということで、完成度は遥かに高いところが嬉しいです。

machinestops002

このアルバムを引っさげて現在UKツアー中のホークス。アルバムの評価はこれから出てきますが、以下のレビューでは「絶対絶命」以来の出来なんて書かれてます。

Hawkwind – The Machine Stops – CD Review

THE MACHINE STOPS リリース!

CHERRY RED RECORDS のアナウンスでは本日発売となっていましたが、2、3日前から本国では流通しており、日本にもすでに入ってきています。ご覧のようにCDはデジパック仕様。image

ブックレットには歌詞が掲載されています。また今回は曲ごとに参加メンバーがクレジットされいます。そして、少し驚いたのはTHE BAND としてバンドメンバーが記載されていますが、以下の表記です。image

今作では、ティム・ブレイクさんが不参加、ツアーメンバーだったフレッド・リーヴス(key,vo)が正式メンバーに、さらに最近のツアーに出演しているハズ・ウィートン(b)もクレジットされています。

ディブス(vo,b)、ホーン(b)のダブルベース体制に、さらにまたベーシストって、どういうことなんでしょうか。

各曲ごとの参加メンバーが記載されていて、その内容から見ると、このメンバーが全員参加している曲はなく、一曲あたりの参加メンバー数はコンパクトになっており、デイヴのソロプロジェクト的な体制のようにもみえます。

数ヶ月前にデイヴのソロがリリースされましたが、今作のベースになった曲もあると記載されており、デイヴのソロワークが拡大されてホークス作品になったという印象。まぁでもこのパターンがホークスの通常の形ではありますね。

リーヴスは自作曲でソロプレイしているだけで、その他のキーボードは全てデイヴの演奏。そういう意味では、スタジオ作ではキーボード奏者が不要だったのかもしれませんが、ブレイクさんが不在なのは残念です。リーヴスのプレイが一曲だけで、ホークスナンバーて彼のオルガンが全面に出なかったのは良かったと思いますが。hwtms

前置きが長くなってしまいましたが、久しぶりのフルスタジオ収録の今作、ほぼ期待通りの出来で、レジェンド健在といった趣きです。フォースターの同題ノベルのコンセプトに忠実に作られたことで、筋の通った完成度になっています。

ジャケットは、最近よく起用される関連バンド、クレルのマーティンMが担当。原作ノベルの主人公クーノーをイメージしたものと思われます。

各曲レビューは改めて行います。

THE MACHINE STOPS+スプリングツアー!

machinestops.jpg昨年から告知されていた最新スタジオ・アルバム THE MACHINE STOPS のカバー画像とそれに伴う春ツアーがアナウンスされています。予定通りEM.フォースターの古典SF「機械が止まる」をベースにしたコンセプト・アルバム。ここ数年ブロックがテーマにしているテクノロジーの発達にともなう人間性の喪失を扱ったもので、Fahrenheit 451(華氏451度)などにも通じるテーマ。
アルバムのリリースは4月とされ、ツアーは3月26日お膝元デボンでのファン向けイベントHAWKEASTER2016の2日間を皮切りに4月下旬まで11公演、そのうち4/14-20は連日のブッキング、相変わらず現役バリバリです。
新作への期待が高まりますね!