HAWKWIND新作 Road To Utopia 最速レビュー

9月14日発売予定のホークウインドの新作Road to Utopiaですが、早くもアナログ盤が国内のタワレコの都内店舗に入荷していました。まだ本国のAmazonでも発売していません。前々作Into The Woodもアナログ盤だけタワレコに早く入荷していましたが、今回はそれよりも早いです。すでにiTunes、Spotifyなどでシングルとして、アルバム収録曲のQuark, Strangeness & Charm、The Watcherがリリースされ、一部視聴できます。
Hawkwind-Road To Utopia LP cover

ジャケットは見開きでした。とてもホークウインドのジャケには見えないイラスト。左上に小さくエリック・クラプトンも描かれ、現メンバー全員と今作で重責を担ったマイク・バットも載っています。コーティングやツヤのないマットな紙質で朴訥なイラストと相まって、アコースティック感のあるもの。内側には制作の様子を撮ったスナップ写真が掲載。クラプトンの写真が多いですね。演奏しているギターはクラプトン定番のストラトです。ジャケ裏側にはクレジット。ホークスのアルバムにクラプトンのクレジットってすごい違和感。以前ギグに参加していたジェズ・ハゲットの名前も。絃楽器、管楽器のミュージシャンのクレジットは載っていませんが、スナップを見ると、バットが話していたように弦楽五重奏、サックス五重奏の編成が見られます。これに加えてフルートやクラリネットやオーボエなどのホーンセクションが参加しています。


Hawkwind-Road To Utopia label
マトリクスはハンドエッチングでA-1、B-1

新作をLPで初聴きするという、近年では滅多にない幸せな機会。新作レコードに針を下ろすワクワクした気分はやっぱりいいです。
リチャード・チャドウィックのドラムチューニングが軽めなイントロのリズムから本作のアコースティック志向が感じられます。オープニングのQuark, Strangeness & Charm。ギターのバッキングに絡んでホーン群の響きが印象的です。デイヴ・ブロックのリードボーカルはいつも通りなんですが、スイングしたリズムに合わせた歌い方で、このジャジーな演奏を楽しんでいます。電子音も多少入っていますが、ここではホーンが主役。
そしてイントロからクラプトンのブルージーなエレキが登場するThe Watcher。ほぼ全編を通じてクラプトンのギターが演奏されブロックのハーモニカ、バットのアコピとのコンビネーションも自然で、元々レミーが作曲した曲のムードをより盛り上げています。ボーカルはMr.ディブス。
アコギのアルペジオにストリングが乗る美しいイントロからブロックのリードボーカルによるWe Took The Wrong Step Years Ago。弦楽器に加えて各種管楽器がソロを添えていきます。ボーカルにハモリを加えているのはチャドウィックのようです。
原曲の通り、飛行機のプロペラ音から始まるFlying Doctor。イントロのギターがスパニッシュ色。ボーカルはディブス。この曲は抑揚が激しいアレンジしがいのある曲調なので、A面の終わりらしくとても盛り上がります。チャドウィックがリズムの合間で色々叫んでいて楽しい。
さてB面に移ります。アップテンポで威勢の良いPSI Power、今作ではPsychic Powerと名付けられています。アコギのリズミカルなカッティングにホーンがアクセント。
続いてマグナス・マーティン作の新曲、Hymn To The Sun。アコギのアルペジオのメロディを聴かせるスローな美しいインストですが、反面ストイックな冷ややかさも備えた曲、バッキングはストリングス。
今作はホウクローズ曲が多く、続くMicro Manはバラード調に仕上げています。中間部のハゲットのサックスソロもストリングスのバッキングに乗せてメローに吹かれます。ブロックのボーカルはいつになく朗々と歌っています。
Intro The Nightはタイトルの通り、終曲Down Through The Nightのイントロの役割。これもマーティン作曲で彼のアコギを主役にバットのストリングスアレンジが盛り上げます。いつしかリフはDown Through The Nightに変わり、ボーカルはディブス中心にしたコーラスに。中間部はブロックのワウのかかったエレキソロ、そこにハーモニカもかぶってきます。ストリングスとホーンで盛大に終了。拍手や掛け声などのSEが添えられています。

オーケストラというよりは室内楽の編成にブラスセクションが加わった印象ですね。チャドウィックとハズ・ウィートンのリズムが全体をしっかり支えているので、腰の据わった安定感のあるバッキングで、聴いていても破綻のない高品質な仕上がりとなっています。いつものスペイシーさが人間らしいアンサンブルに変わったというような印象。ホークスの本流ではありませんが、その分クラプトンやバットなどの才人との出会いが生んだ作品と言えるでしょう。
このアルバムを引っさげてのツアーは10月、11月を予定しており、ゲストにアーサー・ブラウンが参加することになりました。

新作は9月?

春は恒例のHAWKEASTERを実施。ホークスイベント時だけに特別に組まれるバンドTOSHには、久々にデッド・フレッドが参加、カルバートバンド時代の曲を演奏したとのこと。
そして、すでに知れ渡っていますが、この写真。そう、旧友クラプトンと再会!Dave Brock and Eric Clapton
オフィシャルFacebookにも掲載。
6月12日ロンドンのグローヴ・スタジオでの1枚。ここはストーンズやクラプトンもレコーディングしたことがありますが、大きなスタジオなのでクラシックのレコーディングが多いそうです。ブロックがちょっとだけレコーディングしたと言ってるので、オケのレコーディングだったのかもしれません。通常は自宅スタジオで収録しているので、わざわざここで録るとなると、そんな気がします。この冬のオケとの競演に先駆けて、動いているのかもしれないですね。さすがにクラプトンのゲスト参加はないでしょうけど、、ちょっと期待もありますが、合わないですよね〜。<7/7追記>クラプトン、レコーディングに参加しアルバムに収録されることが発表されました。

また新作に関して気になる情報があり、来月20日にギグを行なうサネットのローカルサイトに、新作のリリースは9月との記載がありました。
なおこの夏のギグには、マイク・バットがゲスト参加とのこと。日本ではあまり知られていませんが、大ベテランのSSW。ホークウインドの楽曲のオケパートはこの人がスコアを書いているそうなので、指揮をとるかと思われます。
また年末のオケ競演ツアーではザ・ブラックハート・オーケストラという男女デュオのバンドが前座とのこと。こちらは女性ボーカルによる耽美的なゴシックサウンドなので、オケとの相性が良さそう。

PS ブロックとクラプトンの話は何度かこのサイトでも触れたことがありますが、60年代初頭、ブロックがクラプトンにギターのコードを教えたり、リッチモンドの公園で、サイダー片手にマリファナ吸いながら一緒にブルーズ弾いたりしていたそうです。ブロックはストリートミュージシャンを始めましたが、クラプトンはストリートには出ず、すぐにプロバンドに入ったそうです。