ホークウインド来日を振り返って ファン同士の対談

いまだ余韻の残るホークウインドの来日公演ですが、当サイトに協力いただいているホークスファンのExilesさんと来日コンサートのレビュー対談をしました。

船長、ブレイク先生、Mrディブス、Dフレッドさんにサインしてもらったポスター

・Exilesさん(以下Ex)
以前、E-Labというアナログシンセ関連を中心としたサイトを運営、その中でホークス レビュー記事を公開されていました。ホークスつながりで知り合いになり、西新宿巡り などするような仲に。2004年にサイトをたたみ、ホークス記事は当 HawkwindDazeに寄稿いただきました。最近はご所有の膨大なアナログ機材のメンテをしつつ、畑仕事と薪割りの修行中とのこと。
・当サイト運営 Koh(以下Dz)
Exilesさんと1歳違いのアラフィフ。ホークスは中学生だった70年代中盤に宇宙の祭典で知る。以降、洋楽誌Fool’sMateやMarqueeMoonでのわずかな記事で情報を得つつ、モダ~ンミュージック、Edison、DU各店などでレコ&CD収集。90年代半ばからネット活用で海外の情報、海外ファンとの交流、アイテム収集が加速。得られた情報を公開するため2000年に当サイト運営開始。

Dz:2日間のホークスステージ、おつかれさまでした。
Ex:おつかれさまでした。
Dz:ついに来日、夢のような2日間でした。最近のセットリスト状況から同じ会場の場合は初日、2日目と選曲は変えるだろうと予測していましたが、その通りとなりました。
Ex:2日目はセットリストも演奏内容も中々充実していて良かったですね。1日目は本番が公開リハーサルだったんじゃないのか(笑)。
Dz:今回は開演前にサインもらったりとか、わずかな時間だけども、メンバーに接することができて感激でした。チャドウィックさんとか妙にひょうきんな感じだし、想像以上に背も低めでしたね。
Ex:いいキャラクターでしたね、チャドウイックさん。船長も意外に大きくなかったですね。ブレイク先生は神経質そうな感じでサイン書くときも丁寧でしたね。
Dz:昔の写真みるとデイヴはメンバーの中でも背が低いほうですよね。そういう意味では今のメンバーに大きい人はいないですね。dave.jpg
さて演奏についてですが、自分は2000年のホーケストラを観て、ホークスライブの雰囲気は体験しておりました。今はニックやハーヴィーのようなアクのあるメンバーがいないので整然さが際立った感じがします。
Exilesさんはニック来日ステージは観られてますが、本家は初めてですね、全体の印象はどうでした?
Ex:生ホークスの印象は・・・もうちょっと混沌としたステージングをイメージしてましたが、思いの他健康的?な印象でした。出音も同様で、へヴィなインプロになっても結構クリアーに鳴っていましたね。
祭典のカオス状態を期待してしまうと物足りなく感じますが、祭典の頃とは機材も社会状況も違うわけで、これが現在進行形のホークスの姿なんでしょう。
Dz:ダンサー陣がいなかったのは、本来の印象とはかなり違うかと。あれがあるといきなりアングラ感が出ますし、安っぽさや反面芸術性もでますから。
Ex:確かにダンサー不在は最大の要因ですね。普段音でしか接していないから気が付かなかった(笑)。
Dz:日本公演は予算面の制約もあるだろうから仕方ないですね。そこは出たばかりのSPACE RITUAL 2014のDVDで体験するようですね。
Ex:多分演ってる事は祭典の頃から大して変わっていないと思いますが、いまどきは楽器もPAもほとんどデジタル処理のため破綻した音は出(し)にくいし、情報面でもメンバーのプロフィールから使用機材、しまいにゃ朝メシに何喰ったかなんて事までありとあらゆるものがWeb上に溢れ返っていますので、ライブパフォーマンスに過剰に神秘性を求めるのが無理というものですね。
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Dz:選曲ですが、ホークスの最近のセットリストが基本になっていました。その点でライブ初体験の日本人向けクラシックナンバー・オンパレードではなくて、ガッカリしたむきも多かったと思いますが、、(チッタだと、運営がそういうアレンジをしたでしょうね)
Ex:現在進行形のホークスが観れたということで十分満足でしたよ。2日間、楽しかった。1日目のセットリストはちょっと物足りない感じがしましたが、2日目は「襲撃、砲門の嵐」も「炸裂する空間」(ともに「絶体絶命」)も「Arrival in Utopia」(「チューズ・ユア・マスクス」)も演ってくれたし。
船長のラブリーな笑顔も観られたし、サインも貰ったし握手もしたし・・・ほとんどミーハーですが、50過ぎて(笑)。
Dz:まぁ、何十年も待った来日公演なんで、ミーハーになるのも仕方ないですよ。お客さんも我々含めて平均年齢高かったですね。今回、印象に残った曲は?
Ex:印象に残った曲は「破滅への道」(「宇宙の探求」)。2日とも演りましたね。この人はギター1本さえあればあの独特の世界観を表現できるんだなぁ、と思いました。
Dz:アコギではなかったですけど、そんなことはどうでもいいくらい、印象的でした。「オルゴン・アキュムレーター」(「宇宙の祭典」)も良かったです、やっぱ昔のナンバーはクセがあって良いですね。
そうそう、ブレイク先生の年季の入ったテルミン使いっぷりも良かったです。
Ex:演奏面では、船長のギター弓弾きとかブレイク先生のテルミンパフォーマンスとかペダルボードの電源リセットとかデッドフレッドさんのノンエフェクト鍵盤サウンドが浮きまくってたとか、色々あって楽しかったです。
Dz:ブレイク先生、初日ではショルキーの電池交換もやってたそうです(笑)。ギターについてはあまり詳しくないのですが、デイヴはレスポール1本でしたね。ボーカルはディブスさんに任せる部分が結構あって、ちょっと物足りない感じはしたけど、歳だからね。あの声が生で聴けただけでもありがたいです。ギター演奏、生で観てどんな感じ?
Ex:今回船長のギターソロはかなり少なかったですが、その数少ないソロの中で指弾き率は8割くらい行ってたんじゃないでしょうか。
曲によってはカッティングの合間のリフのフレーズも親指の腹で弾いてましたよ。親指の腹で弾くと、エッジの立った音は出しにくいんですが、芯のある、太くて濃い音が出せるんですよね。「イッツ・ソー・イージー」(シングル「サイケデリック戦士」B面)のイントロの宇宙に木霊する様なギターフレーズも親指弾きじゃないかなぁ(当時から?)。
ワタクシごとですが、自分も最近はほとんどピックを使わずに指ばっかりで弾いてるんで、ちょっと嬉しかったです。
Dz:なるほど、やはり生でみるといろいろなことが見えてきて興味深いですね、しかしブロック船長、73歳なのに変わらずカッコ良かったです。
Ex:あと、船長のギターを弾く姿。祭典の頃の写真と一緒ですね。ラントンさん程じゃないにしろ、直立でギター見ながら弾くという。これも個人的に密かにウケてました。
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Dz:その他のメンバーで目立っていたのは、ブレイク先生でしたね。あと準メンバーのデッドフレッドさん、結構デイヴが気に入っている様子でした。デイヴに次いで年配だし、割とジャジーなセンス持ってるので、故J.ステュワートとかぶる感じもあった。リバーブも無しって、かわいそうでしたが。
しかし今回、VINYLさんが呼んでくれなかったら実現は難しかったかもですね。再来日はそう簡単ではないと思いますね。
Ex:まだまだ生で聴きたい曲は数多くあるので、ぜひまた来てほしいですね。パラドックスとかダウンスルーザナイトとか狂人とかイッツソーイージーとか。5回目くらいの来日は日比谷野音で夏の夕暮れにラブインスペース希望(笑)。
Dz:やはり生演奏ならではの魅力や再発見があり、ほんと楽しめました。
Ex&Dz:Hawkwindのメンバー及びスタッフの皆様、招聘のVINYL様、ありがとうございました!

ホークウインド来日公演レビュー Part1

ホークウインドの来日公演、振り返ってレビューを書いていたのですが、時間がかかってしまい2ヶ月も経ってしまいました。

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ポストカードサイズのフライヤー。会場で販売されたB2サイズポスターは左のデザインの拡大判。

1969年のバンド結成から46年目にして、ようやくの初日本公演となりました。
来日ということでは、96年にニック・ターナーズ・ホークウインドの来日公演があり、ニックらしくパワフルでアグレッシブなものでしたが、分家的な位置づけであり、本家の来日が長らく待たれていました。
本家とは、創始者であり常にHawkwindの看板を背負ってきたデイヴ・ブロックの率いるホークウインド。
日本での人気や知名度という点でプロモーターの関心は高くはないですが、09年からWHDジャパンによる70年代~90年代にかけての作品群(ブロック、カルバートのソロ作も含む)、10年のEMIミュージック・ジャパンによるUA期の紙ジャケ日本盤順次発売や、待たれていた「絶対絶命」の正規CD化の動きなど、ようやく水面下で機運が出てきた感がありました。
そして2010年、クラブチッタが招聘決定、翌2011年4月9日、10日に公演予定とのアナウンス。チケットは1月より販売されましたが、来日目前に311東日本大震災の発生により見送りとなりました。
その後チッタは再招聘することもなく3年あまりが過ぎた昨年、マニアックな外タレ公演を企画している西新宿のレコード店VINYL JAPANが招聘決定し、この4月ついに実現しました。VINYL様、ほんと感謝です。
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会場は下北沢のGARDEN。あまり大きくないハコですが、生ホークスを間近で見られるという点では良かった。会場はスタンディングでほぼ満員でしたが、当日券も販売されており、初来日がこの規模で済んでしまうというのが、日本でのホークス人気の実情というところでしょうか。チッタに比べて宣伝も控えめなので、本当にコアなファンだけが集まったような感じでした。私個人的には、子どもの頃から小田急沿線に住んでいたこともあり、下北沢は高校生の頃からEDISONやレコファンでレコード買ってた街。そんな身近なところにホークスが降臨、、、なんだか身近過ぎて逆に不思議な感覚。でもその身近な距離感がホークスらしく、そんなところでも感慨深いものがありました。
ライブ映像は比較的多くリリースされてきたホークス、ファンにとってはYouTube含めてステージの様子は目にする機会は多かったので、実際に見るメンバーの印象、演奏のムードはそれらの印象と変わらず。今回のステージでは、映像投影はありましたが、ダンサー出演はありませんでした。公演規模から予算的に削減したと推測されます。
日本での滞在は約1週間と比較的長かったにもかかわらず、リハは初日の午前中程度。しかし本番演奏は最初からホークス節全開で、とても安定感のあるユニットという印象。今年は3月に7日間のUKツアー、1週間前の土日はHawkeasterと称したギグをお膝元のデボンで実施したばかりでしたので、演奏にはなんら問題ない状況だったわけです。
デイヴ・ブロックは歌声、ギター演奏とも73歳ながら衰えを感じませんでした。穏やかな物腰と醸し出すオーラは60年代からブリットロックの歴史とともにホークスを支えてきたキャリアがあってのもの。
ホークスとはデビューギグのローディーとしての参加から何かと関係のあったティム・ブレイク。ゴングやソロ活動、79-80年レギュラーメンバー、00-05年のゲスト参加、07年からのレギュラーメンバーとホークス歴は長く、スペイシーなシンセワークはホークスになくてはならない存在感。今回実際に見たテルミンの扱いは、かなりのものでした。またバッキングをフレッドが演奏しているので、愛用のショルダーAX-Synthでのソロプレイに専念していました。
そして気が付いたら在籍27年目のリチャード・チャドウィック。ホークスメンバーでデイヴ除いてここまで長期間在籍している人はいません。安定のワンパターンドラムですが、掛け声やバックコーラスなど、結構声使っていました。そういえばホークスがストーンズのカバーした際、ギミー・シェルターで歌っていましたね。
デッド・フレッド・リーヴスは実は関係の深いメンバーで以前ニックのインナーシティユニットのメンバーだったり、故カルバートのバンド、クランクシャフトのメンバーでもありました。さらにホークスには83−84年にバイオリンでツアーに参加、それが27年後の12年に突如ツアーメンバーとして返り咲き、現在まで継続して参加。主に鍵盤をプレイし時々バイオリンを演奏しています。今回は残念ながら鍵盤演奏のみでしたが、オルガン、シンセによるバッキングに加えて、随所でソロプレイも演奏し、バンドに溶け込んでいる印象でした。
若手のナイル・ホーン、中堅どころのMrディブスの二人は、陰になり日向になりながら年配3名を支えている印象で、地味ですがその二人の力は大きいと感じました。シークエンス系はほとんどホーンのMacで制御されているようでした。ディブスはその容貌に反して、中音域の伸びるクリアな声質と気さくな振る舞い、twitterやfacebookでさかんに訪日の様子をアップしていました。こちらのツイートに素早くリツイートしてくれました。
当初ギターで参加していたナイルは、最近はベース担当。ステージではMacでシーケンサーの制御も行っており、全体のコーディネーションをしているようでした。ディブズは当初ベース兼ボーカルでしたが、ナイルがベースを弾くので、ベースを持たずにカルバート曲を歌ったり、ナイルとツインベースでプレイ、果てはギターもわずかですがプレイしていました。
メンバーは水曜から入国し、新宿のホテルに滞在。歌舞伎町、明治神宮観光などをして当日を迎えました。ちょうど歌舞伎町の東宝ビルにゴジラの頭部オブジェができたばかりで、メンバー滞在中の部屋から見え、面白がっていました。GARDENは前日も他のステージがあったため、リハは当日昼過ぎから。前日雨でしたが、当日は晴れ間が出てきました。

会場で販売されたTシャツ。これ以外にはバンドが持ってきたTシャツもありました。


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初日のステージは当初予定より30分ほど遅れての開始。開始前から薄暗い中、おもむろにメンバーが楽屋から出てきて、重低音の電子音が鳴り響きました。ブレイクのテルミンプレイによる高音の電子音、ほどなく聴き覚えのあるシンセ・シークエンスに導かれてデイヴのコードストローク。予想通り「モーターウェイ・シティ」。リードボーカルはデイヴ。日本でデイヴのボーカルが初めて放たれた瞬間。ディブスはギターで間奏部のリードフレーズを担当。続いてブレイクのショルダー鍵盤によるソロ。中間部が引き伸ばされ、ミドルテンポで安定感とドライブ感のある反復リズム、一気にホークスの世界に。
会場大興奮、続いてアルバム「オンワード」の「丘に耳あり」。あたまからアップテンポで突っ走り、リードボーカルはディブス、不安なムードを醸すナンバーですが、中間部はフレッドのオルガン、デイヴのギター、ティムのシンセとソロプレイが続きます。
間髪入れずにデイヴのリリカルなアルペジオから「破滅への道」。探求の曲ですが、印象的なオールド・ナンバーだけに、万感の思いがこみ上げます。デイヴのギター&ボーカルに電子音、リズムという構成。
エンディングとともに前乗りなリズム、ジャムっぽい曲でホーンとディブスのツインベース、片方のベースにはワウをかけているようでした。デイヴが曲名をWowと紹介していました。そこでメンバー紹介。各メンバー名はファーストネームで呼んでいました。
続く重低音のシンセとディブスの語り口調のイントロ曲Carbon Neutralized Poem。最近のステージでは、「シーズンズ」のイントロとして演奏されています。前曲同様未発表。そして「シーズンズ」。このあたりの演奏の感じは最新ライブアルバムSPACE RITUAL LIVEの印象と同じです。
デイヴの軽快なコードストロークから「ダムネイション・アレイ」。ボーカルはディブズ。中間部はデイヴのギターソロ、ブレイクのテルミンによる電子音、フレッドのオルガンとアップテンポのジャムが繰り広げられ10分以上に引き伸ばされていました。
重厚なシンセパッドによるインスト曲(タイトル不明)、ナイルがMacを操作、フレッドがシンセソロを演奏。ホークスによくある寂寥感のある曲で未発表曲。
ギターのディストーション音とともに始まったのは「ボーン・トゥ・ゴー」。リリースされたばかりのライブアルバムSPACE RITUAL LIVEのテイクと同じアレンジですが、よりパワフルに演奏時間も長くなっているようでした。
フレッドのピアノに導かれてホウクローズの「エイジ・オブ・ザ・マイクロマン」カルバート曲のリードボーカルはディブスが担当しており、カルバート期の選曲もディブスの好みなのではないでしょうか。フレッドのキーボードはエフェクトがほとんどかかっていない生音だったのですが、エコーやリバーブかけるなどすれば、もっとホークスにマッチするはずなんですが、ちょっと浮いた感じ。
続いてインスト曲、未聴曲でブロックのメモとアナウンスからHe Ha!というタイトルであることが判明。シンセシークエンスにアラビアンなフレーズが乗る重厚な曲。デイヴがこの時はステージから離れます。
ブレイクのソロ曲はこのところLighthouseなんかもやっていたので、期待していたのですが、演奏されたのは「南十字星」オンワード収録曲です。デイヴが戻ってプレイされたのは「ショット・ダウン・イン・ザ・ナイト」。リードボーカルはディブス。中間から後半にかけての疾走感が最高です。オルガン、ギター、ベースと次々にソロプレイが披露されていきます。
聴きなれたイントロから次の曲はハシシだとわかります「ハッサン・アイ・シャバ」。やはりリードはディブス。間奏はシンセベース上でデイヴのギターソロ。会場は大興奮で、終幕。アンコールはデイヴの来場者に向けての謝辞から「スピリット・オブ・ジ・エイジ」へ。ボーカルはデイヴ。観客はSpirit of the age の合いの手合唱。また明日!とのことで終了。
後半ショット・ダウンからハシシ、スピリットの流れはファンなら誰でも興奮しますね。十分に楽しめましたが、なんとなくカルバート曲多いな、という印象はありました。翌日に期待しながら会場をあとにしました。