ティム・ブレイク 初期ソロ2作リマスター・レビュー

ESOTERIC RECORDINGSレーベルの公式サイトでは3/31リリース予定とされていましたが、3月初旬から国内に入荷してます。いずれも当時新興レーベルの仏EGGからリリース、日本でもキングレコードから発売されたので、比較的知られている作品。
CDは仏のMANTRAから発売され、その後英VOICEPRINTが権利を獲得しCD再発、日本ではヴォイスプリント・ジャパンから発売されました。今回、ホークス再発を推進しているESOTERICのマイク・パウエル氏によりリマスター、ボーナストラック追加にてリリースされました。解説はホークスのバイオ本を手がけるイアン・エイブラハム。クリア・ウォータープロダクションでサウンドエンジニアをしていた時に、ニックとディクミクにその才能を見出されたなど、当時のエピソードが紹介されています。

今回リリースされた2枚は、日本では79年、折からのシンセサイザーブームに乗ってキングレコードがEGGレーベルの権利を獲得し、そのカタログを続々とリリース。プロモーションの目玉としてブレイク本人が招聘され業界関係者向けのエキシビションギグも行われました。

この頃はレーザー光線技師のパトリス・ワレンナーと組み、クリスタル・マシーンと名付けたプロジェクトでライブ活動を行い、時代の先端を走っていたという印象がありました。1stアルバムは、76〜77年のクリスタル・マシーンのスタジオテイク、ライブテイクを集めたもの。シンセベースのシークエンスの上でシンセソロのアドリブが展開されるという、T.ドリームやK.シュルツェらジャーマン系シンセミュージックと同傾向の作品。ブレイクの曲調はそれらよりも繊細で軽やか、メロディアスな感触。リズムはリズムマシーンやシンセのトリガーを使っており、ドラムレス。3曲目Last Ride Of The Boogie Childで本人のリードボーカルが聴けますが、それ以外はインスト。なおアナログ盤の仏EGG原盤はB面最終曲の最後、シンセの持続音エンドレスになっています。ボーナストラックは、76年仏ISADORAレーベルからSARATOGA SPACE MESSENGERS名義でリリースしたシングルSurf、ボーカル入りでポップ調、晩年のR.カルバートの曲調に近いもの。それにEGGからの78年にリリースしたシングル SYNTHESE INTEMPOREL の両面曲。アルバム本編と同傾向の曲。

続く2作目 BLAKE’S NEW JERUSALEMは、アルバム冒頭ブレイクのアコギ弾き語りから開始され一瞬驚きますが、全体にボーカルの使用が増え、楽曲もメロディーの美しさを打ち出したアルバム。前作に比較して、歌ものが目立つメロディアスな作品。盲目のキーボードプレイヤー、ジャン・フィリップ・リキエルがミニモーグで参加しています。ジャージーなセンスを持ったプレイヤーで、その手のミニモーグソロは彼によるもの。
2曲目のLighthouseはホークスのLIVE79でも演奏されているので、お馴染みですね。翌79年にホークスに参加する際の契約の決め事の一つとして、この曲をステージで披露するという条件だったそうです。LIVE79ではブレイクの独演でしたが、その後アレンジが加えられCOMPLEAT’79では後半リズムセクションが入ってくるようになり、G.ベイカー加入後は頭からドラム叩くアレンジになりました(公式アルバムには収録がなくブートで確認。ベイカーとブレイクが一緒の期間は短く、その時期のステージテイクは公式リリースされておらず、ブート聞くとかなり良いので残念)。
アナログ盤ではB面全体で1曲のタイトルナンバーがハイライト。ボーナストラックは、78年同EGGよりリリースされたシングルGenerator LaserbeamのB面曲The Woodland Voice。同時期の79年にリキエルと一緒に制作したWATERFALLS IN SPACEというカセットテープアルバムから2曲収録。From Outer SpaceはLighthouseをモチーフに19分にも及ぶ曲、Jupiter To JerusalemはNew Jeruslaemのオルタネイト版という感じ。この時期のブレイクの別の側面が伺い知れる興味深いテイクです。余談ですがリキエルは昨年(’16)他界した、あのデザイナー、ソニア・リキエルの息子です。

ジュエルケースにピクチャーレーベル

引き続きESOTERICからは、3rdアルバムMAGICK(’91)、4thアルバムTHE TIDE OF THE CENTURY(’01)がリマスターリリースされます。NEW JERUSALEMでのボーカル曲路線の方向の作品で、クリアなシンセの響き、メロディアスで叙情的な作品群です。私的にはNEW JERUSALEM、TIDE OF CENTURYが特に好きな作品です。