ニック・ターナー来日直前特集!ニックの足跡

いよいよ週末に迫ってきましたニックの来日公演。ここでホークス脱退後のニックの諸作品を振りかえり、その足跡と功績を再認識し、ギグに備えたいと思います。
今回のステージでは、おそらく「宇宙の祭典」収録曲が中心になると思いますが、ニックのスタジオ制作の諸作品は基本的に新規のオリジナルです。
個人的にはオリジナル作品の出来もよいと思うので、もっと注目&評価されるべきかと。しかし聴衆はホークスのニックを期待してしまうので、ステージではホークスナンバーオンパレードになり、アルバムもそのステージを収録したものが注目されがちです。
各作品の再評価の期待を込めつつ、ニックの活動と諸作品を俯瞰します。

ホークスのASTOUNDING SOUNDS, AMAZING MUSIC(76)リリース後のツアーが一段落した際、メンバー間のゴタゴタでニックはアラン・パウエルと同時にホークスを脱退。人間関係に嫌気がさしたとか、ドラッグで調子悪かったなどと本人は言ってます。アランとはその後も時折活動を共にすることになります。

NIK TURNER’S SPHYNX / XINTODAY (78)

XINTODAY CHARISMA CDS 4011 (1978)
XINTODAY (CHARISMA CDS 4011) (78)

1978年カリズマレーベルからリリースされた1stソロアルバム。
古代エジプトの神々やピラミッドなどの遺跡の神秘を探るコンセプトで制作され「死者の書」を題材にオシリス神のストーリーをテーマにしています。フルートの演奏はギザの大ピラミッドの王の間にて収録された素材を使用。
のちにその経緯は明らかになりますが、ホークス脱退後、知人の誘いでエジプトにバカンスに訪れたニック。夜、ピラミッドの頂上に立ちフルートを吹いたその時に、滅多に降らない雨が降ってきたという神秘的な体験が創作のモチベーションになったそうです。王の間でのフルート録音は、現地のガイドにお金握らせて3時間ほど他の観光客を遮断して行ったそうです。

ニック・ターター/スフィンクス(日本フォノグラム RJ−7506)
ニック・ターター/スフィンクス(日本フォノグラム RJ−7506)

プロデュースはゴングのスティーヴ・ヒレッジでギターもプレイ、その他ゴング勢としてミケット・ジローディ(Syn/Vo)、ティム・ブレイク(Syn)、マイク・ハウレット(B)、アンソニー・フィリップスとの共演でも知られるハリー・ウイリアムソン(Pf/Gt)が参加。多彩なパーカッション陣に BRAND X のモーリス・パート、ホークス関連ではアラン・パウエルがコンガで参加。
ホークスでの喧騒と宇宙的ノイズサウンドとは異なり、全体にアコースティックな音の感触。シンセもかなり使われているのですが、フルートの幽幻な響きや土着的なパーカッションなどの繊細な音の響きを大切にしたヒレッジのプロダクションが、安易な電子音の洪水にならず、控えめながら奥行きのある音世界が構築されています。
カバーアートはバーニー・バブルスが担当し、ブックレットが付属していました。
国内盤は日本フォノグラムからリリース、横尾忠則の紹介文が帯やライナーに、阿木譲のライナーなど、当時のSFやシンセミュージックのブームにのせようと力を入れている感じです。

このアルバムはなかなかCD化されなかったので、93年にニックはLAのバンド PRESSUREHED と再録を行い、CLEOPATRA から SPHYNX というタイトルでリリースされました(後述)。

NIK TURNER'S SPHYNX / XINTODAY (NIKTCD333) (97)
NIK TURNER’S SPHYNX / XINTODAY (NIKTCD333) (97)
ニック・ターナーズ・スフィンクス/エキサイティントゥデイ (Arcangelo ARC-7173) (2006)
ニック・ターナーズ・スフィンクス/エキサイティントゥデイ (Arcangelo ARC-7173) (2006)

その後、本アルバムのCD版はニックの自主制作に近い形で97年にリリースされ、その後2007年に Esoteric Recordings の前身 Eclectic Discs からメジャーリリース、その国内盤は ディスクユニオンさん の Arcangelo レーベルから発売されました。

このアルバムをリリース後、NIK TURNER’S SPHYNX としてギグやフェスなどで演奏を行っていましたが、その頃の様子は2000年にリリースされた以下のCDで断片的ではありますが垣間聴くことができます。

NIK TURNER OF HAWKWIND / LIVE AT DEEPLY VALE FREE FESTIVAL 1978 (OZIT-MORPHEUS RECORDS OZITCD 0053) (00)
NIK TURNER OF HAWKWIND / LIVE AT DEEPLY VALE FREE FESTIVAL 1978 (OZIT-MORPHEUS RECORDS OZITCD 0053) (00)

NIK TURNER OF HAWKWIND / LIVE AT DEEPLEY VALE FREE FESTIVAL (00)
78年にヒレッジや HERE AND NOW などと参加した DEEPLY VALE FREE FESTIVAL での演奏やその他フェスなどの演奏が収められています。反復するリズムを演奏するロックバンドをバックにフルートやサックスを演奏、ジャムセッションのような感じです。サウンドボードからのテイクですがモノラルです。

またこの頃、THE POLICE の前身バンド STRONTIUM 90 の関連で、GONGのM.ハウレット、H.ウイリアムソンの企画した反核ソング Nuclear Waste 制作のためスティング、ヒレッジなどと FAST BREEDER & THE RADIO ACTORS に参加。スティングのボーカル曲でサックスを吹いています、

INNER CITY UNIT
80年に入ると、ニック自らのバンド SPHYNX をパンクロックバンド INNER CITY UNIT に変貌させます。T−REXにいたスティーヴ・ペレグリン・トゥックのバンド Steve Took’s Horns が解散したところ、そのメンバーに声をかけ結成。トレヴ・トムス(Gt)、デッド・フレッド(key)などのメンバーとともにアグレッシブなポストパンクを演奏。1stアルバム PASS OUT を80年にリリース。

INNER CITY UNIT / PASSOUT (RIDDLE RID002) (80)
INNER CITY UNIT / PASSOUT (RIDDLE RID002) (80)
S.トゥックはICUのギグに客演していましたが同年ドラッグで若くして逝去。アルバム収録の Watching The Grass Grow はその後復帰するホークスでも取り上げる曲、その他 Master Of The Universe などのホークス曲もカバーしています。

翌年2ndアルバム The Maximum Effect を発表。同年12月にニックがホークスのステージに客演、82年中頃からは完全復帰、ICUと並行して活動。

INNER CITY UNIT / THE MAXIMUM EFFECT (AVATAR AALP 5004) (81)
THE IMPERIAL POMPADOURS / ERSATZ (POMPADOUR POMPOD1) (82)
THE IMPERIAL POMPADOURS / ERSATZ (POMPADOUR POMPOD1) (82)
ロバート・カルバートとの活動も行なっており、IMPERIAL POMPADOURS というプロジェクトでもアルバムをリリース。いずれのアルバムも先鋭的でアグレッシブなもので、パンクやガレージのルーツとしての面目躍如。

83年にはICUのデッド・フレッド(Key)もホークスに参加することになります。84年には3rdアルバム Punkadelic をホークスの当時のリリース元 FLICKNIFE レーベルに移し発売。84年にはフレッドがホークスを抜け、85年にニックも抜けます。その後ICUはギタリストをスティーヴ・ポンドに変更し、New Anatomy (85)、The President’s Tapes (85)とリリース。

INNER CITY UNIT / PUNKADELIC (FLICKNIFE SHARP 103)  (82)
INNER CITY UNIT / PUNKADELIC (FLICKNIFE SHARP 103) (82)
INNER CITY UNIT / NEW ANATOMY (DEMI MONDE DM001) (84)
INNER CITY UNIT / NEW ANATOMY (DEMI MONDE DM001) (84)
INNER CITY UNIT / THE PRESIDENTS TAPES (FLICKNIFE SHARP 031) (85)
INNER CITY UNIT / THE PRESIDENTS TAPES (FLICKNIFE SHARP 031) (85)

なお、D.フレッドは、2012年にまさかの本家復帰、来日公演に参加していましたね。

様々なミュージシャンとのコラボや自身のジャズバンド NIK TURNER’S FANTASTIC ALL STARS などを率いてのライブ活動を続けます。
92年の英国のフォーク&カントリーSSW、ナイジェル・マズリン・ジョーンズのステージでフルート&サックス演奏、ドラムはVDGGのガイ・エバンスというチームのテイクが後年リリースされています。

PINK FAIRIES とは70年のワイト島をはじめとしてよくジャムを行ってきたので、

MAZLYN JONES AND GUY EVANS WITH NIK TURNER / LIVE (BLUEPRINT BP250CD) (97)
MAZLYN JONES AND GUY EVANS WITH NIK TURNER / LIVE (BLUEPRINT BP250CD) (97)
PINKWIND / FESTIVAL OF THE SUN (TWINK TWK CD2) (95)
PINKWIND / FESTIVAL OF THE SUN (TWINK TWK CD2) (95)
トゥインクとの親交は続いており、93年のフェスには PINKWIND として、トゥインク(Drs)、トレヴ・トムス(Gt)らとホークスナンバーや自身のソロ曲を演奏。95年に TWINK RECORDS より PINKWIND – FESTIVAL OF THE SUN としてリリース。

NIK TURNER / SPHYNX (93)
93年にはLAの新興レーベル CLEOPATRA から、1stソロアルバム XINTODAY のリメイク版を発表。参加しているプレイヤーは同レーベルの PRESSUREHED の面々。ゴシック系やインダストリアル系を得意としている同レーベルのバンドらしく、パワフルなリズム、エッジの立ったギターやシンセの音色で、オリジナルアルバムとは曲順も変わり、ほぼ完全な新作というような内容。アルバム最後にオリジナルアルバムの元になったギザでのフルート演奏のテイクが収められています。

NIK TURNER / SPHYNX (CLEOPATRA CLEO21352) (93)
NIK TURNER / SPHYNX (CLEOPATRA CLEO21352) (93)

この作品の勢いに乗るように、新作 PROPHETS OF TIME を同年年末にかけて制作。前作のメンバーに加え、元ホークスのサイモン・ハウス(Vn)、同じ CLEOPATRA から作品をリリースしてた PSYCHIC TV のジェネシス・P・オリッジ(Vo/Syn)、CHROME のヘリオス・クリード(Gt)などが参加。

さらに翌94年1月から2月にかけて、全米40ヵ所以上にわたる SPACE RITUAL ツアーが実施されました。アルバムのメンバーに加え、デル・デットマー(VCS3)、アラン・パウエル(Perc)らの元ホークスメンバーが参加、ライブレコーディングされます。その名の通り「宇宙の祭典」を再現するような選曲でオーディエンスは熱狂し評判が良く、本家と混同する聴衆も多かったようです。

NIK TURNER / PROPHETS OF TIME (CLEOPATRA CLEO69082) (94)
NIK TURNER / PROPHETS OF TIME (CLEOPATRA CLEO69082) (94)

NIK TURNER / PROPHETS OF TIME (94)
そしてアルバム PROPHETS OF TIME が CLEOPATRA から発表。前作のテイストを引きながら、より力強い作品となりました。

NIK TURNER / SPACE RITUAL 1994 LIVE (95)
95年には前年の SPACE RITUAL ツアーのライブ盤 NIK TURNER – SPACE RITUAL がCD2枚組でリリース。日本ではキャプテントリップレコードが販売。アメリカでのツアーは95年も実施、ここでもライブレコーディングされ、翌96年 PAST OR FUTURE? としてアルバムリリースされることになります。

NIK TURNER / SPACE RITUAL (CLEOPATRA CLEO 9506-2) (95)
NIK TURNER / SPACE RITUAL (CLEOPATRA CLEO 9506-2) (95)
NIK TURNER PAST OR FUTURE? (CLEOPATRA CLP 9685-2) (96)
NIK TURNER PAST OR FUTURE? (CLEOPATRA CLP 9685-2) (96)

前作とかぶる曲はわずかで、「絶体絶命」収録曲や Kadu Flyer などの曲が収められ、ファンには嬉しい内容でした。そのリリース直後に日本公演も実現。

この頃、CHERRY RED RECORDS の企画アルバム A SAUCERFUL OF PINK というピンクのトリビュートアルバムに参加し「ユージン、斧に気をつけろ」をカバー。

HAWK FAIRIES / PURPLE HAZE (TWINK TWK CD5) (96)
HAWK FAIRIES / PURPLE HAZE (TWINK TWK CD5) (96)

95年4月には前述の PINKWIND の変名、THE HAWK FAIRIES としてギグ、これもレコーディングされて96年に THE HAWK FAIRIES – PURPLE HAZE としてリリース、キャプテントリップより国内盤も販売されました。前述の故スティーヴ・トゥックとP.フェアリーズに在籍したギタリスト、ミック・ウエイン(94年に逝去)に捧げられています。

その後もLAの周辺バンド、北欧のバンドなどへの客演が続きます。
フィンランドの DARK SUN はホークスのカバーアルバムをリリースしていますが、ニックが客演しています。

ANUBIAN LIGHTS
ニックは旧ホークスメンとの活動でホークスナンバーを演奏するようになったので、ソロアルバム SPHYNX のアラビアン路線を推し進めていくプロジェクト ANUBIAN LIGHTS を PRESSUREHED のメンバーと始動させます。

ANUBIAN LIGHTS / ETERNAL SKY (HYPNOTIC CLEO 96032) (95)
ANUBIAN LIGHTS / ETERNAL SKY (HYPNOTIC CLEO 96032) (95)

1stアルバムは95年にリリース、アルバム SPHYNX の流れをくむ作風でS.ハウス、D.デットマーも参加。
その後2001年頃までコンスタントにアルバムを発表しました。

ホークスの旧メンバーとのギグを重ね2000年には、H.L.ラントン(Gt)、T.オリス(Drs)、T.クランブル(B)、ロイド・ジョージ(Syn)というメンバーで 2001 A SPACE ROCK ODYSSEY というバンド名でギグを行いました。その後、ラントンが抜け、ミック・スラットリー(Gt)が参加。このような極初期のメンバーとの邂逅などがあり、2000年のリユニオンギグでのメンバー集めでは大変な功労者だったと思われます。リユニオンの実施の裏でギャラの支払いなどのゴタゴタがあり、旧メンバーの大半はニックとの活動を選び、ニックは NIK TURNER”S HAWKWIND と名乗ったりしていましたが、2つのホークウインドの存在はファンが混乱するということで、ブロック側が訴訟し勝訴、その後ニックは SPACE RITUAL をバンド名にすることになります。
2003年にはデイヴ・アンダーソン(B/Gt/Vo)が参加、オリスの息子サム・オリス(Drs)も帯同。

NIK TURNER'S KUBANNO KICKASSO (OZIT-MRPHEUS OZIT NIKTCD 334) (03)
NIK TURNER’S KUBANNO KICKASSO (OZIT-MRPHEUS OZIT NIKTCD 334) (03)

NIK TURNER’S KUBANNO KICKASSO (03)
2003年にニックが長年活動していたビッグジャズバンド FANTASTIC ALL STARS のCDがリリースされました。バンドは14名にも及ぶ大編成で大まじめなラテンジャズを展開。ニックの別の側面が伺いしれるアルバム。

SPACE RITUAL / OTHER WORLD (07)
ニックと初期メンバー同窓会バンドは、その名も SPACE RITUAL として、ギグテイクを集めた作品をマイナーリリースしていましたが、2007年に ESOTERIC RECORDINGS よりメジャーアルバムリリース。

SPACE RITUAL / OTHER WORLD (ESOTERIC RECORDINGS ECLEC 2011) (07)
SPACE RITUAL / OTHER WORLD (ESOTERIC RECORDINGS ECLEC 2011) (07)
D.アンダーソンのプロデュース。収録曲はほぼ新曲、オリジナル曲で勝負しており、全体に落ち着いた大人のスペースロックという感じで、アンダーソンのプロダクションも良く完成度の高い作品です。

その後、アンダーソンが体調不良で離脱。
2011年には、バーニー・バブルス・メモリアル・コンサートと銘打ったギグが実施され、多くの旧メンバーが参加。。

HAWKLORDS / THE BARNEY BUBBLES MEMORIAL BENEFIT CONCERT (HLORDS001) (11)
HAWKLORDS / THE BARNEY BUBBLES MEMORIAL BENEFIT CONCERT (HLORDS001) (11)
エイドリアン・ショウ、ハーヴィー・ベインブリッジ、スティーヴ・スインデルスなどの HAWKLORDS組、アラン・デイヴィ、ダニー・トンプソンの80年代中期組、ロン・トゥリー、ジェリー・リチャーズの90年代後期組が参加。当時のマネージャー、ダグ・スミス、初期の名ドラマー、サイモン・キングが駆けつけました。キングはホークス脱退度、業界から足を洗っており、実に30年ぶりに再会したことになります。
ギグの模様はDVDやLPにてリリースされます。このメンバー構成は感動ものです。
この時に集まったメンバーを中心に HAWKLORDS のバンド名を復活させ活動を始めます。ニックは参加していませんが、アルバムのリリースを続けています。現在、旧メンバーは、H.ベインブリッジ、J.リチャーズ、ロンで、他は新しいメンバーでの活動。
NIK TURNER / SPACE GYPSY (PURPLE PYRAMID CLP 0666 & CLP 0660) (13)
NIK TURNER / SPACE GYPSY (PURPLE PYRAMID CLP 0666 & CLP 0660) (13)

NIK TURNER / SPACE GYPSY (13)
ニックの久々のソロアルバムが長年契約している CLEOPATRA から2013年にリリース。レギュラーメンバーに旧ホークスメンは起用せず、参加メンバーは UK-SUBS のニッキー・ギャラット(Gt)、ドイツの DIE KRUPPS のユルゲン・エングラー(Key)などがメジャーどころで、その他は無名のメンバー。S.ヒレッジが1曲、S.ハウスが3曲ゲスト参加。スペースロックの路線を踏襲、反復するハードなギターリフと電子音の渦巻くサウンドにサックス、フルート、ニックのボーカルという構成。シンセの音が全体に厚く流れていて、流麗で心地良い印象もあります。
アルバムに先行してシングル Fallen Angel STS-51-L がリリース。公式ビデオは以下。

NIK TURNER / SPACE FUSION ODYSSEY (15)spacefusion
現時点のソロ最新作、今作ではヒレッジ(Gt)が多くの曲に参加し、豪華ゲストが多数参加。前作とは方向性が変わり、タイトルに象徴されるようにフュージョン的な楽曲になっています。ホークスのステージに客演していた、ジョン・エサリッジ(Gt)のプレイもこういう楽曲ではとてもフィットしています。前作から参加のJ.エングラー(Syn)はほぼ全曲に参加していますが、その他のメンバーは流動的で、元メガデスの敏腕ギタリスト、クリス・ポーランドとその現バンドOHMのベース、ロベルティーノ・パグリアリ、ドラマーのデヴィッド・イーグルが基本ユニットとなるため、かつてないほどテクニカルな楽曲。その他、元 THE MAHAVISHNU ORCHESTRA のビリー・コブハム(Drs)とジェリー・グッドマン(Vn)、元 THE DOORS のロビー・クリーガー(Gt)、元 AMON DUUL II のジョン・ヴァインツィアル(Gt)、元 YES のビリー・シャーウッド(Gt/Drs/Key)、リック・ウエイクマン(Key)、先日亡くなったジリ・スマイス(Vo)など。それぞれフルに参加してるのではなく1、2曲程度の参加。ニックによると、これらのメンバーはプロダクション側で人選や交渉をやってお膳立てされていたとのこと。全体にテクニカルな演奏で、個性的なミュージシャンを起用しつつ、スペーシーなムードで統一されています。

FLAME TREE FEATURING NIK TURNER (PURPLE PYRAMID CLO 0298) (96)
FLAME TREE FEATURING NIK TURNER (PURPLE PYRAMID CLO 0298) (96)

また今年の動向として、PURPLE PYRAMID から FLAME TREE FEATURING NIK TURNER (16) をリリース。Sax/Gt/B/Drsの4ピースバンドで、こちらは即興中心のフリージャズを演奏。

客演では元PILのベーシスト、ジャー・ウォブル自身のバンド JAH WOBBLE’S INVADERS OF THE HEART の新作 EVERYTHING IS NO THING (16) に参加。フルートを吹いています。

ジャー・ウォブル&ザ・インヴェイダーズ・オブ・ザ・ハート/エヴリシング・イズ・ノー・シング (BEAT BRC-518) (96)
ジャー・ウォブル&ザ・インヴェイダーズ・オブ・ザ・ハート/エヴリシング・イズ・ノー・シング (BEAT BRC-518) (96)

ライブ活動は、音楽の内容にあわせて以下の4つのユニットで行うという、多忙な活動を続けてます。

SPACE RITUAL NORTH AMERICA CREW
LA中心に、スペースロック系USツアーを行う際は USバンド HEDERSLEBEN (UK-SUBS のN.ギャラットが在籍)がバックを務めます。

Nik Turner’s Brand New Space Ritual
UK、欧州でのスペースロックは、SPACE RITUAL で。 (しかし現在、オリス。スラットリー、クランブルが抜けており、旧ホークスメンが不在。スティーヴ・ジョーンズ(G)*ピストルズのあの方ではありません、ゲイリー・スマート(B)、クリス・パードン(Key)、チャーリー・スカー(Drs)、Msエンジェル(ダンス)。
今回の来日はこのユニットになると思われますが、ホークスメンは帯同するのか、まだわかりません。

INNER CITY UNIT
パンクはおなじみICU。ギターはS.ポンド、ドラムにはディノ・フェラーリ。

FLAME TREE
ジャズは前述のアルバムをリリースした FLAME TREE という4ピースバンドで演奏。

今月はUKと日本ツアー。今月下旬から11月いっぱいは30カ所近くまわる全米ツアーの予定という、相変わらずのハードロードをこなしていくようです。

以上、ニックさんの経歴をさらっと書くことはできず、とても長々な文章になってしまいました。
ここで紹介しきれていない作品もまだあるので、ディスコグラフィは作りたいです。時間かかりそうだな。
来日メンバーは上記メンバーの可能性が高いですが、果たして、、、

ニック・ターナー来日 直前おさらい(+初来日時の思い出)

nik_201605何かあまり盛り上がっていない感じのニック・ターナーの20年ぶりの来日ですが、ビニール・ジャパン様だと広告が少ないので、気がつかない方も多いのでしょうか。
まぁ、今ではブロック率いる本家に対して分家の扱いとなっているため、96年の初来日のようなインパクトはないですが。

ニックの公式サイトに今回のバンド名 Nik Turner’s Brand New Space Ritual として以下のメンバー名が発表されています。UKツアーの合間に日本に来るような日程になっていますので、この編成の可能性が高いです。

昨年のツアー時のメンバーとほぼ同じですが、ドラマーがテリー・オリスからチャーリー・スカーという人に代わっています。
ということで、旧メンバーの参加はなさそうですが、今回はいかに。
少し前までは、T.オリスに加えて T.クランブル、M.スラットリーまでいましたが、、

Nik ‘Thunder Rider’ Turner (sax, flute, vox)
Gary Smart (bass)
Steve Jones (guitar)
Chris ‘Mekon’ Purdon (electronics)
Charlie Scarr (drums)
Ms Angel (dance, vox)

おそらく今回参加するダンサーのMs Angel
おそらく今回参加するダンサーのMs Angel

このユニットのセットリストであれば、そのバンド名の通り「宇宙の祭典」のセトリ中心のライブになるはずです。定番の D-Rider、Silver Machine もやりそうです。

初来日時は本家分家とか関係なく(ブロックによる訴訟によりニックがホークウインドを名乗ることができなくなったのはもっと後の2000年代です)、とにかくあのホークスのステージが日本で見れるというだけでみんな大興奮でした。
ニックのソロ名義で、すでにリリースされていた95年の SPACE RITUAL、96年の PAST OR FUTURE? の2枚がニックバンドのステージを様子を伝えており、

SPACE RITUAL (95)
SPACE RITUAL (95)
PAST OR FUTURE? (96)
PAST OR FUTURE? (96)
ホークス時代の名曲をLA若手のバンドやホークス旧メンバーと共にパワフルかつギンギンに再現、その当時のブロック率いるホークウインドよりも魅力的に感じるファンも多かったですね。あの頃の船長はと言えば、ALIEN 4、そのツアー、そして LOVE IN SPACE などのリリースを行っており、そちらはそちらで充実してましたが。

来日時のステージはとにかく爆音だったため、すべてが混然一体となって、まさにカオス状態。この時期のライブ収録のアルバムはもっと明瞭に聞き取れるので、ちょっとPAが盛りすぎてるのではないかと思いました。
サウンドボードで録られていた日本公演の音源を聞くと各楽器の演奏は明瞭に聞こえます。ただし本家の演奏よりはプリミティブなものですので、ある程度音量で押し出す必要はあると思います。
>新宿MARZ様、ほどほどでお願いします。

その時の来日メンバーは、
Del Dettmar(VCS3 wood axe synth)
Simon House(Vn)
Alan Powell(Drs/Perc)
らの旧友が参加していたことも話題になりました。
その他のメンバーはLAのバンド Pressurehed のメンバー
Tommy Grenas(Gt)
Doran Shelley(Gt)
Len Del Rio(Synth)
Paul Fox(B)
それに同じくLAの Farflung のドラマー
Brandon LaBelle(Drs)
以上総勢9名でした。
東京公演では非常階段のJOJO広重さんが Silver Machine に飛び入り参加されていました。今回の大阪 LIVE SPACE CONPASS では、非常階段の客演がアナウンスされています。

96/3/17 NIK TURNER’S HAWKWIND 東京公演(渋谷ON AIR WEST)のセットリスト
Intro – Dream Worker
Watching The Grass Grow
Kadu Fyer
Master Of The Universe
Spiral Galaxy
Dying Seas
Soul Herder
Opa Loka
Lord Of The Hornets
Highrise
Thoth
Ejection
Audio Energy
Orgone Accumulator
10 Seconds Of Forever
Brainstorm

アンコール
Silver Machine
Shouldn’t Do That
In The Mood(Sax Solo)
God Rock(Flute Solo)

ニックさんは、その後も数々のホークス旧メンバーと活動、テリー・オリス、ミック・スラットリー、ヒュー・L・ラントン、トーマス・クランブル、デイヴ・アンダーソン、スティーヴ・スインデルス、ハーヴィー・ベインブリッジ、エイドリアン・ショー、ダニー・トンプソン、そしてジェリー・リチャーズにロン、挙げ句の果てにはアラン・デイヴィ、さらにサイモン・キング(顔出しだけでプレイはしてないと思います)さんまで出てきたほど、旧知のメンバーとのネットワークがあります。ニックのフランクな人柄を感じます。
またカルバートの晩年のバンド、クランクシャフトのメンバーとも活動したり、ジャズバンドのプロジェクト、若手バンドに客演などなど、実に多くの人脈を持ちながら精力的な活動を続けています。そうした多種多様なプレイヤーとの活動から、XHAWKWIND、SPACE RITUAL、HAWKLORDSなどの派生バンドが組織されてきました。
このニックの精神性は、70年代初頭のホークスにあって、今は無いものなのでしょう。その点で、同行メンバーがどうあれ、日本でニックのスピリットを感じることができる最後の機会かもしれません。

旧友ミック・スラットリーが参加していた時のショット
旧友ミック・スラットリーが参加していた時のショット
後ろのプレーヤーはトーマス・クランブル
後ろのプレーヤーはトーマス・クランブル
2011年のバーニー・バブルス・メモリアル・コンサートのバックステージショット 左からエイドリアン・ショー、ニック、サイモン・キング、ダグラス・スミス、ハーヴィー・ベインブリッジ、スティーヴ・スインデルス、アラン・デイヴィ、というものすごい面々
2011年のバーニー・バブルス・メモリアル・コンサートのバックステージショット
左からエイドリアン・ショー、ニック、サイモン・キング、ダグラス・スミス、ハーヴィー・ベインブリッジ、スティーヴ・スインデルス、アラン・デイヴィ、というものすごい面々

T.ブレイク復帰ギグ、D.ブロックのインタビューなど

新作 THE MACHINE STOPS は TEAMROCK のThe Progressive Music Awards 2016 のアルバム・オブ・ザ・イヤーにノミネートされたものの、受賞はできませんでした。レセプション会場にブロック船長は出席していました。

日本では ATOMHENGE の再発群、UA期の諸作品は続々とリリースされてきましたが、なぜか近年で最も話題になった新作の国内盤はリリースされないという事態がホークスらしいですけど。ちなみにウルトラヴァイブから帯付けただけアルバムはわずかですがリリースされましたが、あれは正規発売とは言い難いですし。

アルバム発売に伴う4月のUKスプリングツアーは、D.ブロック、R.チャドウィック、Mr.ディブス、N.ホーン、H.ウィートンの5名で実施、昨年までの鍵盤担当のT.ブレイクはソロ活動に専念するためにアルバム収録前に抜けており、さらにD.フレッドが体調不良のため抜け、ステージでは、ホーンが鍵盤に専念していました。新加入のベーシスト、ウィートンのプレイはフレージング、ドライブ感などファンの間で評判良いです。

5月にはギリシャで2ステージ。6月にはスエーデンのフェス、7月にはドイツとイギリスのフェスに参加。この7月のステージではブレイクがテルミンとショルダーキーボードで復活していました。今後も継続参加するのか不明です。でもブレイクさんがいないとなんか物足りないので、復帰大歓迎ですね。

その7月の英国ランブリン・マン・フェアの様子
チャドウィックさんがリードボーカルの Silver Machine
Hassan I Sabbah

ホークウインドのリーダー、デイヴ・ブロックのインタビュー記事が先月、TEAMROCKに掲載されました。今回のインタビューはデイヴのプライベートな面についての内容で興味深いものです。
子供の頃、学校の美術の先生よりニューオリンズジャズの魅力を教わったとか、若い頃の南仏でのストリートミュージシャン時代はロマンチックなものではなく、寝泊まりはビーチで寝袋と、大変だったとのこと。
住まい兼スタジオとなっているデボンの農場では家畜を飼育しているが、時には処分することもあり、そういう辛い面も含めて様々な経験があるとのこと。
また政治的であるかについては、とても難しい問題であり自分ひとりの力で変えられるものではないと語っています。
またバンドのリーダーという立場では、厳格だし効率的であるように、奥さんのクリス・テイトとバンドを様々な面でマネージメントしているとのこと。
もっとも誇れることは、長生きした両親のこと。デイヴの父は100歳、母は94歳まで生き、その晩年の面倒を長年見てこれたことを喜ばしいと考えていると。
じぶんは成功者だと思っていないし、でなければこんなありふれた農場に住んでいないよとのこと。
将来墓碑銘には偉大な音楽家として刻まれたいとのこと。みんなに口ずさまれるようなジャズのスタンダードのような曲を作ったミュージシャンになりたいとのことです。

ニック・ターナー様来日!日本ツアーのメンバーは?

nikいよいよ1ヶ月後に迫ったニックさんの来日ですが、招聘のビニール様のサイトにも帯同メンバーについての発表はありません。
今年のUSツアーでは、西海岸を拠点とするバンド Hedersleben をバックバンドとしており、このバンドがそのまま一緒に来る可能性もあるかと思っていました。
ですので、直接 Hedersleben にコンタクトしてニックさんの来日ツアーに同行されるのか確認しました。親切に回答あり、ニックの日本ツアーには残念ながら同行しない。そちらにはイギリスのバンドを連れて行くそうだ、とのコメントをもらいました。
ニックバンドの英国側のメンバーは、ギター、ベース、電子音の3名はあまり知られていない面々で、ホークス周辺でいうとテリー・オリス(dr)、トーマス・クランブル(key)がいるので、この2名が同行してくる可能性があります。ミック・スラットリーは体調不良で抜けていますが、体調が戻れば参加の可能性あります。正式な発表を待ちましょう。

カリズマ&RCA時代のコンピ

英CHERRY RED RECORDSのAtomhengeレーベルからのホークス再発リリースは、版権があるものについては出揃っており、もう目新しいものは無さそうですが、その中でCHARISMA RECORDS時代の4枚、RCA時代の3枚、それぞれをひとまとめにして、紙ボックスにしたコンピが今月末にリリースされるとのこと。
The Charisma Years 1976-1979
・ASTOUNDING SOUNDS, AMAZING MUSIC
・QUARK STRANGENESS & CHARM
・HAWKLORDS名義の25 YEARS ON
・PXR5HAWKWIND-Charisma-Years

The RCA Active Years 1981-1982
・SONIC ATTACK
・CHURCH OF HAWKWIND
・CHOOSE YOUR MASQUESHAWKWIND-RCA-Years
内容的にはすでにリリースされた各アルバムと同じもののようです。Atomhengeからの最初のリリースでは、多くのアルバムはデモや未発表曲など収録されたボーナスディスクとの2枚組でしたが、今回のコンピセットではボーナスディスクは含まれません。あくまでレーベル単位を俯瞰するようなセットということですね。おまけで小ささなポスターがつくようです。

Hawkwindの解説本 Sonic Assassins 改訂版リリース

sonicassassinsian今から10年以上も前、2004年にリリースされましたホークウインドのヒストリー本 Sonic Assassins の改訂版が11月に発売されることになった模様。
イギリスのジャーナリスト、イアン・エイブラハムズ氏によって編纂され、詳細なバンドの歴史をインサイド、アウトサイドからの証言などによって解き明かしたもので、絶版状態でとても高価になっていました。以前ここで紹介しました。
このほど、改訂版が発行されるとの情報を執筆者から聞きました。
書籍以外ではKindle版も出るそうで、Amazon UKで、プリオーダーが始まっています。2004年以降の新しい情報も掲載されるようです。

Solitary Man 7inch シングルレビュー

以前から告知されていたニューアルバム THE MACHINE STOPS からのシングルカット Solitary Man の7インチビニールが CHERRY RED よりリリースされました。solitaarymanep
アビーロードスタジオでマスタリング、カッティングされたとのこと。ジャケットはアルバムと同様のイラスト。アルバム収録のテイクとは別ミックスであるとレーベルのサイトには記載されていますが、実際に確認したところ、アレンジは同じですが間奏のところからバイオリンの即興演奏が目立っており、確かに別ミックス。
Solitary Manのレーベル面には、ゲストバイオリン アテヌ・ロバーツと記載されています。彼女はUKのフォークロックバンド 3 Daft Monkeys のメンバーです。アルバムでは他の曲でもバイオリンが参加しており、そちらはクレジットがないので、デッド・フレッドが演奏していると思っていたのですが、ひょっとしてこのアテヌなのかもしれません。solitary02
片面はアルバム未収録のナンバー Tunnels Of Darkness でデイヴのボイスが入りますが、ほぼインストゥルメンタル。1コード16ビートで突っ走るストイック系。アコピでアクセントを付けながら、電子音、ストリングスがかぶさりますが、ひたすら反復。4分50秒ほどで突然終わります。このまま倍以上の尺ひっぱるとホークスらしくて良さそうです。
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新作 THE MACHINE STOPS チャート29位の意味

先週金曜に最新のアルバムチャートに更新されましたが、トップ100圏外になってしまいました。引き続きロックアルバム部門では5位と健闘中。

http://www.officialcharts.com/charts/rock-and-metal-albums-chart/

先週のウイークリーチャート29位というランクですが、Top30圏内に入ったのは82年の「チューズ・ユア・マスクス」以来、実に34年ぶりになります。

ホークスの本国でのチャートインの歴史は同じ「オフィシャルチャート」でもデータベース化されているので、以下で見ることができます。

http://www.officialcharts.com/artist/14630/hawkwind/

シングルとアルバムに分かれていますので、アルバムを見ると、今回の29位チャートインがいかに快挙か、分かるかと思います。

本国でのツアーは先週25日のプレストンのギルドホールで終了しました。この日ステージでは29位チャートインの話も出ました。またレミーが亡くなって4か月経つこともあり、レミー作の「ザ・ウォッチャー」(「ドレミファソラシド」)が演奏されました。最近のステージも日本公演を思い出させるようなムードで、よりエネルギッシュな印象が増しているようです。特に新加入のハズ・ウィートンのベースはかなり評判が良いです。彼の演奏がバンドにさらなるドライブ感をもたらしています。

ホークスは今月はギリシャ、その後6~7月は北欧を含むヨーロッパ各地での公演が予定されています。米国は98年以降一度も行ってませんが、数年前に中止になった際入国審査が面倒とブロックさんが言っており年齢からするともうUSツアーはないかもしれません。

全英アルバムチャート29位 ロック部門2位!Hawkwind THE MACHINE STOPS 

先週からチャートインした、ホークウインドの新作 THE MACHINE STOPS ですが、最初の週の確定ランキングが発表されました。

初登場29位とまずまずの結果となりました。

http://www.officialcharts.com/charts/albums-chart/

BBCのROCK ALBUM チャートでは堂々の2位!

http://www.bbc.co.uk/radio1/chart/rockalbums

各サイトのでの評価も良いので、ホークスとしては、久々のヒット作になりそうです。

往年のプログレバンドの中でも、現チャートで良い結果を残せるバンドは少ないので、ホークスはやっぱり凄いバンドですね。

デイヴ・ブロック新作ソロ BROCKWORLD レビュー

2016年3月にリリースされたデイヴの6枚目のソロアルバム。前作 LOOKING FOR LOVE IN THE LOST LAND OF DREAMS が2012年のリリースでしたので、かれこれ4年ぶりとなるリリース。ホークスの新作レビューと前後してしまいました。順序からいうと、こちらが先にリリースされています。

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リリースはHAWKWARD RECORDS、自主レーベルのようです。前作LOOKING FOR LOVE IN THE LOST LAND OF DREAMS はソロアルバムらしく趣味性が強く、様々なアウトテイクの寄せ集め的要素から、散漫な印象になってしまったこともあり、実を言うと今回あまり期待していませんでした。

しかし自分の勝手な予想に反して、今作は前作に比較すると全体的に統一感があり、各曲ともソロにありがちなまったりした感じが少なく、今までの作品と比較しても、かなり良い出来だと思います。

アルバムカバーはホークス新作のカバーも担当したマーティン・Mによるもの、参加メンバーはホークスからチャドウィックが15曲中、7曲にドラムで参加。ホークスに加入したばかりのハズ・ウィートンがベースで1曲に参加。他は全てブロックが演奏。ライナーノーツに近々リリースされるホークスの「THE MACHINE STOPS」収録曲の習作も含まれると記載されています。デジパック仕様の中身は以下。左のデイヴの写真が写っているのは、ブックレット。各曲の歌詞は掲載されていません。

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1曲目、Life Without Passion、ミドルテンポのハードロック、イコラインジングされたブロックのボーカルがカッコ良く、電子音の洪水の中、曲が重厚感を伴い突き進んでいきます。曲調はホークス曲と言っても良いくらいです。ホークスの新メンバー、ウィートンのベースが良い感じ。チャドウィックは参加していないようですので、ドラムは打ち込み。2曲目 Is No Life At All はこの曲のエンディング部を抜き出し別アレンジにしたもの。ほとんど変わりませんが。

3曲目はこもったホンキートンクピアノのかわいらしいメロディの直後、極端なハードリフによるインストルメンタル Manipulation、合いの手のオルガンと後半のベースが印象的。フェードアウト。

Domain Of Those That Fly、サーフロックのような軽快なリズムで始まり、ブロックのボーカルで進みますが、途中ブリッジが入ると、アコーディオンやら犬の声や鳥のさえずり、拍手、電子音で終了する変な曲。続いてストリングス、また鳥の声、ブロックの語りというイントロ、そして「ロボット」を思わせるヘビーリフ曲Ascent Of Man。

風の音がつなぎとなり、次曲 Magnetism、シンセシークエンスとミュートしたギターカッティングが絡みあう。シンセのキラキラした音色が印象的。曲は途中でブレイクし、語り調なボイスとが入り、終わってしまう。

続く Getting Old And A Single Man ダルなフレーズが繰り返されつつジャージーな感覚、ミドルテンポで進んでいるとハードロックに変化、短いながらも変化に富む内容。続いてタンゴ調ピアノ(おそらく打ち込み)が演奏されます。この曲は新作 THE MACHINE STOPS」にも使われています。

重厚なヘビーリフが繰り返されるHorizons。インストルメンタルでアルバム中いちばん長い曲、と言っても5分程度。

機関車のSEに続いてアップテンポな佳曲 Unity。ブロックのボーカルは相変わらず歳を感じさせないハリのある歌声。

低音シークエンスにデイヴの語りの小曲 The End からドローンの唸りのイントロを持つ Leviathans Of The Air ではデイヴのロングサスティンなギターソロが印象的。一変してメロディアスなギターソロに導かれる Falling Out Of Love は「スピード狂のロックンロール」を思い出させるようなポップな曲。後半バイオリンが鳴っていますが、もしかしたらデッド・フレッドの演奏かも。

電子音の奔流にアップテンポなリズム、The Age Of Psychedelia。後半デイヴのアコギによるアルペジオでフェードアウト。最後の The Patientも電子音、SEが多用されつつ、リラックスムードのバック演奏の上でスティールギターのソロ、シンセソロと演奏が流れるように続く。このあたりの曲調はホークスでは出てこないムード。brockworld002

バラエティに富みつつ、ホークスらしい電子音とキーボードシークエンス、ウネウネするギター、ラブ&ピースな温かみの加味されたサウンド。完成度という点ではホークスの新作には及びませんが、今年75歳を迎えるデイヴのなおも進化するロッカー魂に感服するしかない作品と言えるでしょう。