BLOOD OF THE EARTH
EASTWORLD RECORDINGS/PLASTIC HEAD
EW0042CD
Produced by HAWKWIND
Dave Brock: Vocals, Guitar, Keyboards, Synth, Warbletone
Tim Blake: Vocals, Keyboard, EMS, Theramin
Niall Hone: Guitar, Bass, Samples
Mr Dibs: Vocals, Bass
Richard Chadwick: Drums, Percussion, Vocals
Matthew Wright: Vocals on ‘Blood Of The Earth’
Jason Stuart: Keyboards on ‘Starshine’
Seahawks
I’ve become master of the universe というボイスからスタート。電子音のSEの中、ミドルテンポのベース・シークエンスとドラムのリズムが繰り返され不協和なストリングスがかぶり、ギターが呼応しながら、不気味ながらも力強い進行。そしてデイヴによる語り調のボーカルが入ります。ギターはアドリブを交えながら、デイヴのコーラスと共にテンションを上げていきます。一瞬のブレイクをはさんで、リズムレスとなり混成コーラスのパッド音がやや整合感のある和声進行。その後再び不協和声となり不安感をひきずる。ブロック作。
Blood Of The Earth
前曲から切れ目なしに続きリズムレスのまま、レイドバックのかかった、マシュー・ライトのボイスが登場。メロディーはなく不協和音の持続音、ノイズ、電子音など効果音中心の演奏。ブロック、マシューの共作。
Wraith
前曲のマシューの語りを寸断するかたちで、ハイテンポなリズムにスローリフのギター、いよいよホークス節登場。電子音が飛びまくる中、投げつけるようにシャウトするデイヴのリードボーカル。ドラムがハード。ヴァース間にギターソロを挟み、スリリングに突っ走ります。2ndヴァース後ブレイク先生の長めのシンセソロ、定型パターンな進行ですが、さすが堂に入ってます。その後リズムレスとなり電子音とシンセによる静かなシーンから一度ブレイク後、ベースリフにひっぱられて、長めの間奏パート。ベースが主体、電子音とギターがSE的プレイ。リズムが復活し突き進む、ホークス真骨頂。ボーカル・ヴァースが戻ってきて、2拍打ちで締め。6分に渡る演奏で、現在のホークスを代表する曲ではないでしょうか。ボーカルのミックスがややオフ気味な印象があります。wraith = 生き霊。ブロックを除くメンバー合作で2008年頃からステージでは定番曲となっています。作曲者のクレジットにある Darbyshire は確かMr.ディブスのセカンドネームだったかと思います。この Wraith と同じように、作曲にブロックが参加せずメンバー合作を任せた曲は他に2曲あり、今回それらの曲がアルバムの中ではフレッシュ感があり聴き所になっていると思います。
Green Machine
N.ホーンの手になる曲。前曲の喧騒とうって変わってゆったりしたシンフォニック系サウンド。和声進行、ベースのリズムが HALL OF THE MOUNTAIN GRILL の Wind Of Change を彷彿とさせます。ストリングスの和声進行にホーンのギターがかぶり、ブレイクのシンセと交互にメローなフレーズを紡ぐ。4分程度ですが、感動的。
Inner Visions
ブレイク先生作。ホークスでのスタジオテイク単独作は初です。Lighthouse をよりハードにした印象の曲。LIVE 1979 に収録の Lighthouse は、ほとんどソロプレイでしたが、それ以降のステージではリズム隊が入ってパワープレイに変化しましたが、その印象に近い楽曲。リズムセクションに加えギターが入りパワフルなバンド演奏。しわがれたリードボーカルはもちろんブレイク先生。
Sweet Obsession
初出はブロックの1stソロ EARTHED TO THE GROUND、その後5thソロ MEMOS AND DEMOS にも収録され、今回で3rdバージョン目。ただし2ndバージョン目は1stバージョンとは全く違う曲調で、今回のは1stバージョンベースです。バースト音からいきなりスタート。もともと脳天気な明るい曲で、ここでもその印象のままさらにブラスサウンドまで追加され、ちょっとアルバムの中でも浮き気味な印象。
Comfy Chair
引き続きブロック作。シンセシークエンスにアコギのアルペジオが絡み、スローテンポなボーカルが物憂げに歌います。(おそらく)メインボーカルはチャドウィックと思われます。ブロックの高音域のボーカルも抑えめですが入っています。バイオリンが若干鳴っていますが、演奏者のクレジットがありません。昨年ホークスのステージに参加した、ジョン・セヴィンク(THE LEVELLERS)かもしれません。ボーカルパート後は軽いリズムセクションが入り、シンセのリードが流れつつ、そのままのムードで進行しフェードアウト。前曲と同じようにブロックのソロ作的な印象が強く、この2曲がやや浮いている結果となっているように感じます。
Prometheus
シタールの音色、メロディーともにエキゾチックな印象があり、サイケ風味はアルバム中最もある曲。Mr.ディブスがリードボーカル。ボーカルのメロディーラインをギターがなぞり、バックの演奏はスケール感を感じさせるアレンジ。ブロックを除くメンバー合作。
You’d Better Believe It
HALL OF THE MOUNTAIN GRILL 初出のクラシック・ナンバー。ほぼ忠実にセルフカバー。チャドウィックが原曲のキングの走り気味なスティックさばきをうまく真似ています。中間、全体にチルアウトしたプレイになり、エレピをバックにホーンのリラックスしたギターソロ。リズムが復活し、ボーカルヴァースが繰り返されます。セルフカバーとして余裕のあるプレイ。
Sentinel
最終曲はブロック除くメンバー合作のバラード。Wraith 同様、ステージでのレパートリー曲。Mr.ディブスがリードボーカル。終盤のブロックらしいギターソロ、これがあってこそのホークス。
ボーナストラック
Starshine
1CDバージョンにのみ収録のテイク。ブロック作で、演奏はブロックと故ジェイソン・ステュアート。バッキング・キーボードとエレキのみの演奏。ジェイソンによるスローなコードシークェンスをバックにデイヴがいつものギターソロを淡々とプレイ。メローな曲調であり、亡きジェイソンへのレクイエムでもあるようです。ジェイソンのキーボードは音色選びやジャージーなプレイがホークスに新しい感覚をもたらしましたが、ここでもその繊細な音色やプレーを聴くことができます。
楽曲の方向性は TAKE ME TO YOUR LEADER と大きくは変わっていないと思います。それから5年の歳月で、A.デイヴィの離脱、Mr.ディブス参加、T.ブレイクの再復帰、J.ステュアートの逝去、N.ホーンのレギュラーメンバー化など人員の大きな変化はありましたが、新メンバーの技量や新たにもたらされた感覚などでリフレッシュされつつ、またレギュラーメンバーの定着によりバンドとしてのまとまりが作品に対して働いています。
ブックレットにはディストリビューターの PLASTIC HEAD で販売中のTシャツ、そして復刻アナログ盤のカタログが掲載されています。復刻アナログ盤は1stアルバムから5th HALL OF THE MOUNTAIN GRILL までリリースされています。
スペースロックの雄、ホークウインド(Hawkwind)関連情報をお届けするニュースコーナーです。当HAWKWIND DAZE開設(2000年)からのニュースをアーカイヴしています。