ホークウインド来日公演レビュー Part1

ホークウインドの来日公演、振り返ってレビューを書いていたのですが、時間がかかってしまい2ヶ月も経ってしまいました。

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ポストカードサイズのフライヤー。会場で販売されたB2サイズポスターは左のデザインの拡大判。

1969年のバンド結成から46年目にして、ようやくの初日本公演となりました。
来日ということでは、96年にニック・ターナーズ・ホークウインドの来日公演があり、ニックらしくパワフルでアグレッシブなものでしたが、分家的な位置づけであり、本家の来日が長らく待たれていました。
本家とは、創始者であり常にHawkwindの看板を背負ってきたデイヴ・ブロックの率いるホークウインド。
日本での人気や知名度という点でプロモーターの関心は高くはないですが、09年からWHDジャパンによる70年代~90年代にかけての作品群(ブロック、カルバートのソロ作も含む)、10年のEMIミュージック・ジャパンによるUA期の紙ジャケ日本盤順次発売や、待たれていた「絶対絶命」の正規CD化の動きなど、ようやく水面下で機運が出てきた感がありました。
そして2010年、クラブチッタが招聘決定、翌2011年4月9日、10日に公演予定とのアナウンス。チケットは1月より販売されましたが、来日目前に311東日本大震災の発生により見送りとなりました。
その後チッタは再招聘することもなく3年あまりが過ぎた昨年、マニアックな外タレ公演を企画している西新宿のレコード店VINYL JAPANが招聘決定し、この4月ついに実現しました。VINYL様、ほんと感謝です。
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会場は下北沢のGARDEN。あまり大きくないハコですが、生ホークスを間近で見られるという点では良かった。会場はスタンディングでほぼ満員でしたが、当日券も販売されており、初来日がこの規模で済んでしまうというのが、日本でのホークス人気の実情というところでしょうか。チッタに比べて宣伝も控えめなので、本当にコアなファンだけが集まったような感じでした。私個人的には、子どもの頃から小田急沿線に住んでいたこともあり、下北沢は高校生の頃からEDISONやレコファンでレコード買ってた街。そんな身近なところにホークスが降臨、、、なんだか身近過ぎて逆に不思議な感覚。でもその身近な距離感がホークスらしく、そんなところでも感慨深いものがありました。
ライブ映像は比較的多くリリースされてきたホークス、ファンにとってはYouTube含めてステージの様子は目にする機会は多かったので、実際に見るメンバーの印象、演奏のムードはそれらの印象と変わらず。今回のステージでは、映像投影はありましたが、ダンサー出演はありませんでした。公演規模から予算的に削減したと推測されます。
日本での滞在は約1週間と比較的長かったにもかかわらず、リハは初日の午前中程度。しかし本番演奏は最初からホークス節全開で、とても安定感のあるユニットという印象。今年は3月に7日間のUKツアー、1週間前の土日はHawkeasterと称したギグをお膝元のデボンで実施したばかりでしたので、演奏にはなんら問題ない状況だったわけです。
デイヴ・ブロックは歌声、ギター演奏とも73歳ながら衰えを感じませんでした。穏やかな物腰と醸し出すオーラは60年代からブリットロックの歴史とともにホークスを支えてきたキャリアがあってのもの。
ホークスとはデビューギグのローディーとしての参加から何かと関係のあったティム・ブレイク。ゴングやソロ活動、79-80年レギュラーメンバー、00-05年のゲスト参加、07年からのレギュラーメンバーとホークス歴は長く、スペイシーなシンセワークはホークスになくてはならない存在感。今回実際に見たテルミンの扱いは、かなりのものでした。またバッキングをフレッドが演奏しているので、愛用のショルダーAX-Synthでのソロプレイに専念していました。
そして気が付いたら在籍27年目のリチャード・チャドウィック。ホークスメンバーでデイヴ除いてここまで長期間在籍している人はいません。安定のワンパターンドラムですが、掛け声やバックコーラスなど、結構声使っていました。そういえばホークスがストーンズのカバーした際、ギミー・シェルターで歌っていましたね。
デッド・フレッド・リーヴスは実は関係の深いメンバーで以前ニックのインナーシティユニットのメンバーだったり、故カルバートのバンド、クランクシャフトのメンバーでもありました。さらにホークスには83−84年にバイオリンでツアーに参加、それが27年後の12年に突如ツアーメンバーとして返り咲き、現在まで継続して参加。主に鍵盤をプレイし時々バイオリンを演奏しています。今回は残念ながら鍵盤演奏のみでしたが、オルガン、シンセによるバッキングに加えて、随所でソロプレイも演奏し、バンドに溶け込んでいる印象でした。
若手のナイル・ホーン、中堅どころのMrディブスの二人は、陰になり日向になりながら年配3名を支えている印象で、地味ですがその二人の力は大きいと感じました。シークエンス系はほとんどホーンのMacで制御されているようでした。ディブスはその容貌に反して、中音域の伸びるクリアな声質と気さくな振る舞い、twitterやfacebookでさかんに訪日の様子をアップしていました。こちらのツイートに素早くリツイートしてくれました。
当初ギターで参加していたナイルは、最近はベース担当。ステージではMacでシーケンサーの制御も行っており、全体のコーディネーションをしているようでした。ディブズは当初ベース兼ボーカルでしたが、ナイルがベースを弾くので、ベースを持たずにカルバート曲を歌ったり、ナイルとツインベースでプレイ、果てはギターもわずかですがプレイしていました。
メンバーは水曜から入国し、新宿のホテルに滞在。歌舞伎町、明治神宮観光などをして当日を迎えました。ちょうど歌舞伎町の東宝ビルにゴジラの頭部オブジェができたばかりで、メンバー滞在中の部屋から見え、面白がっていました。GARDENは前日も他のステージがあったため、リハは当日昼過ぎから。前日雨でしたが、当日は晴れ間が出てきました。

会場で販売されたTシャツ。これ以外にはバンドが持ってきたTシャツもありました。


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初日のステージは当初予定より30分ほど遅れての開始。開始前から薄暗い中、おもむろにメンバーが楽屋から出てきて、重低音の電子音が鳴り響きました。ブレイクのテルミンプレイによる高音の電子音、ほどなく聴き覚えのあるシンセ・シークエンスに導かれてデイヴのコードストローク。予想通り「モーターウェイ・シティ」。リードボーカルはデイヴ。日本でデイヴのボーカルが初めて放たれた瞬間。ディブスはギターで間奏部のリードフレーズを担当。続いてブレイクのショルダー鍵盤によるソロ。中間部が引き伸ばされ、ミドルテンポで安定感とドライブ感のある反復リズム、一気にホークスの世界に。
会場大興奮、続いてアルバム「オンワード」の「丘に耳あり」。あたまからアップテンポで突っ走り、リードボーカルはディブス、不安なムードを醸すナンバーですが、中間部はフレッドのオルガン、デイヴのギター、ティムのシンセとソロプレイが続きます。
間髪入れずにデイヴのリリカルなアルペジオから「破滅への道」。探求の曲ですが、印象的なオールド・ナンバーだけに、万感の思いがこみ上げます。デイヴのギター&ボーカルに電子音、リズムという構成。
エンディングとともに前乗りなリズム、ジャムっぽい曲でホーンとディブスのツインベース、片方のベースにはワウをかけているようでした。デイヴが曲名をWowと紹介していました。そこでメンバー紹介。各メンバー名はファーストネームで呼んでいました。
続く重低音のシンセとディブスの語り口調のイントロ曲Carbon Neutralized Poem。最近のステージでは、「シーズンズ」のイントロとして演奏されています。前曲同様未発表。そして「シーズンズ」。このあたりの演奏の感じは最新ライブアルバムSPACE RITUAL LIVEの印象と同じです。
デイヴの軽快なコードストロークから「ダムネイション・アレイ」。ボーカルはディブズ。中間部はデイヴのギターソロ、ブレイクのテルミンによる電子音、フレッドのオルガンとアップテンポのジャムが繰り広げられ10分以上に引き伸ばされていました。
重厚なシンセパッドによるインスト曲(タイトル不明)、ナイルがMacを操作、フレッドがシンセソロを演奏。ホークスによくある寂寥感のある曲で未発表曲。
ギターのディストーション音とともに始まったのは「ボーン・トゥ・ゴー」。リリースされたばかりのライブアルバムSPACE RITUAL LIVEのテイクと同じアレンジですが、よりパワフルに演奏時間も長くなっているようでした。
フレッドのピアノに導かれてホウクローズの「エイジ・オブ・ザ・マイクロマン」カルバート曲のリードボーカルはディブスが担当しており、カルバート期の選曲もディブスの好みなのではないでしょうか。フレッドのキーボードはエフェクトがほとんどかかっていない生音だったのですが、エコーやリバーブかけるなどすれば、もっとホークスにマッチするはずなんですが、ちょっと浮いた感じ。
続いてインスト曲、未聴曲でブロックのメモとアナウンスからHe Ha!というタイトルであることが判明。シンセシークエンスにアラビアンなフレーズが乗る重厚な曲。デイヴがこの時はステージから離れます。
ブレイクのソロ曲はこのところLighthouseなんかもやっていたので、期待していたのですが、演奏されたのは「南十字星」オンワード収録曲です。デイヴが戻ってプレイされたのは「ショット・ダウン・イン・ザ・ナイト」。リードボーカルはディブス。中間から後半にかけての疾走感が最高です。オルガン、ギター、ベースと次々にソロプレイが披露されていきます。
聴きなれたイントロから次の曲はハシシだとわかります「ハッサン・アイ・シャバ」。やはりリードはディブス。間奏はシンセベース上でデイヴのギターソロ。会場は大興奮で、終幕。アンコールはデイヴの来場者に向けての謝辞から「スピリット・オブ・ジ・エイジ」へ。ボーカルはデイヴ。観客はSpirit of the age の合いの手合唱。また明日!とのことで終了。
後半ショット・ダウンからハシシ、スピリットの流れはファンなら誰でも興奮しますね。十分に楽しめましたが、なんとなくカルバート曲多いな、という印象はありました。翌日に期待しながら会場をあとにしました。