NIK TURNER / LIFE IN SPACE (CLEOPATRA CLO0605) 2017
前作SPACE FUSION ODDYSSEY(2015)から2年、新作LIFE IN SPACEがリリースされました。ここ数年のソロ作同様、米CLEOPATRAからの発売で1CD版と500枚限定2LPという2種のフォーマット。
1曲目のEnd Of The Worldがクレパトのサイトでシングル曲としているので、のちにアナログEP盤がリリースされるかもしれません。
オープニングナンバーEnd Of The Worldはルドルフが唯一参加した曲ですが、ワウのかかったギターをバッキングで弾いてるだけで特に強い印象はありません。メランコリックなバラード曲でニックのリードボーカルも優しげな歌い方。HEDERSLEBENでも多用されているメロトロンのストリングス音にフルートが絡みます。
2曲目Why Are You?はハードなギターリフをメインにした演奏ですが、そこにメロトロンが乗り、サックスソロが展開。ニックのボーカルは歳のせいか、かなり抑えた印象。
続くBach To Earthはギャラット作。アコギにフルート、そしてハウスのバイオリンの主題演奏とアコースティックなナンバー。アコギの上でプレイされるバイオリンとフルートの絡みがとても美しい。ホークスでは見られない演奏ですが、この組み合わせはある意味、ありそうでなかったと思わせます。
4曲目Secrets Of The Galaxyはホークス風ハードロック、中間部ハウスのバイオリン、ニックのサックスと続きます。後半は電子音だけになっていく変な曲。エングラー作。
Universal Mindはミドルテンポで朗読風ボーカルとフルートを生かした曲。
インスト曲Approaching The Unknownは森の中にいるごとく鳥の鳴き声のSE、持続音が流れる中ギターリフとタイコのリズムが続きます。
As You Wereもノイズや各種SEが流れる中、スローテンポで始まったリズムがギターのコード演奏とともにテンポアップ。ニックはサックスのアドリブ。
ラストはお馴染みMaster Of The Universe。イントロのギターリフにハウスのバイオリンが乗ってくるあたり嬉しい。最初のコーラスが終わた後の中間部はニックのサックスソロ。Aメロが復活するときはハウスのバイオリンも入ってきて終了。もうちょっと長くやってもいいかなと思いました。
おそらく今回もクレパト側でアーティストのマネージメントをしたものと思われます。
現在もUKやEUで来日時のユニットによるギグを行なっています。アルバムプロモーションツアーは10月15日から11月一杯かけて全米で行われる予定。その際はHEDERSLEBENのメンバーがバックになることでしょう。
NIK TURNER OF HAWKWIND / LIVE AT DEEPLY VALE FREE FESTIVAL 1978 (OZIT-MORPHEUS RECORDS OZITCD 0053) (00)
NIK TURNER OF HAWKWIND / LIVE AT DEEPLEY VALE FREE FESTIVAL (00)
78年にヒレッジや HERE AND NOW などと参加した DEEPLY VALE FREE FESTIVAL での演奏やその他フェスなどの演奏が収められています。反復するリズムを演奏するロックバンドをバックにフルートやサックスを演奏、ジャムセッションのような感じです。サウンドボードからのテイクですがモノラルです。
またこの頃、THE POLICE の前身バンド STRONTIUM 90 の関連で、GONGのM.ハウレット、H.ウイリアムソンの企画した反核ソング Nuclear Waste 制作のためスティング、ヒレッジなどと FAST BREEDER & THE RADIO ACTORS に参加。スティングのボーカル曲でサックスを吹いています、
INNER CITY UNIT
80年に入ると、ニック自らのバンド SPHYNX をパンクロックバンド INNER CITY UNIT に変貌させます。T−REXにいたスティーヴ・ペレグリン・トゥックのバンド Steve Took’s Horns が解散したところ、そのメンバーに声をかけ結成。トレヴ・トムス(Gt)、デッド・フレッド(key)などのメンバーとともにアグレッシブなポストパンクを演奏。1stアルバム PASS OUT を80年にリリース。
INNER CITY UNIT / PASSOUT (RIDDLE RID002) (80)
S.トゥックはICUのギグに客演していましたが同年ドラッグで若くして逝去。アルバム収録の Watching The Grass Grow はその後復帰するホークスでも取り上げる曲、その他 Master Of The Universe などのホークス曲もカバーしています。
翌年2ndアルバム The Maximum Effect を発表。同年12月にニックがホークスのステージに客演、82年中頃からは完全復帰、ICUと並行して活動。
INNER CITY UNIT / THE MAXIMUM EFFECT (AVATAR AALP 5004) (81)THE IMPERIAL POMPADOURS / ERSATZ (POMPADOUR POMPOD1) (82)
INNER CITY UNIT / PUNKADELIC (FLICKNIFE SHARP 103) (82)INNER CITY UNIT / NEW ANATOMY (DEMI MONDE DM001) (84)INNER CITY UNIT / THE PRESIDENTS TAPES (FLICKNIFE SHARP 031) (85)
なお、D.フレッドは、2012年にまさかの本家復帰、来日公演に参加していましたね。
様々なミュージシャンとのコラボや自身のジャズバンド NIK TURNER’S FANTASTIC ALL STARS などを率いてのライブ活動を続けます。
92年の英国のフォーク&カントリーSSW、ナイジェル・マズリン・ジョーンズのステージでフルート&サックス演奏、ドラムはVDGGのガイ・エバンスというチームのテイクが後年リリースされています。
PINK FAIRIES とは70年のワイト島をはじめとしてよくジャムを行ってきたので、
MAZLYN JONES AND GUY EVANS WITH NIK TURNER / LIVE (BLUEPRINT BP250CD) (97)PINKWIND / FESTIVAL OF THE SUN (TWINK TWK CD2) (95)
トゥインクとの親交は続いており、93年のフェスには PINKWIND として、トゥインク(Drs)、トレヴ・トムス(Gt)らとホークスナンバーや自身のソロ曲を演奏。95年に TWINK RECORDS より PINKWIND – FESTIVAL OF THE SUN としてリリース。
この作品の勢いに乗るように、新作 PROPHETS OF TIME を同年年末にかけて制作。前作のメンバーに加え、元ホークスのサイモン・ハウス(Vn)、同じ CLEOPATRA から作品をリリースしてた PSYCHIC TV のジェネシス・P・オリッジ(Vo/Syn)、CHROME のヘリオス・クリード(Gt)などが参加。
さらに翌94年1月から2月にかけて、全米40ヵ所以上にわたる SPACE RITUAL ツアーが実施されました。アルバムのメンバーに加え、デル・デットマー(VCS3)、アラン・パウエル(Perc)らの元ホークスメンバーが参加、ライブレコーディングされます。その名の通り「宇宙の祭典」を再現するような選曲でオーディエンスは熱狂し評判が良く、本家と混同する聴衆も多かったようです。
NIK TURNER / PROPHETS OF TIME (CLEOPATRA CLEO69082) (94)
NIK TURNER / PROPHETS OF TIME (94)
そしてアルバム PROPHETS OF TIME が CLEOPATRA から発表。前作のテイストを引きながら、より力強い作品となりました。
NIK TURNER / SPACE RITUAL 1994 LIVE (95)
95年には前年の SPACE RITUAL ツアーのライブ盤 NIK TURNER – SPACE RITUAL がCD2枚組でリリース。日本ではキャプテントリップレコードが販売。アメリカでのツアーは95年も実施、ここでもライブレコーディングされ、翌96年 PAST OR FUTURE? としてアルバムリリースされることになります。
NIK TURNER / SPACE RITUAL (CLEOPATRA CLEO 9506-2) (95)NIK TURNER PAST OR FUTURE? (CLEOPATRA CLP 9685-2) (96)
ホークスの旧メンバーとのギグを重ね2000年には、H.L.ラントン(Gt)、T.オリス(Drs)、T.クランブル(B)、ロイド・ジョージ(Syn)というメンバーで 2001 A SPACE ROCK ODYSSEY というバンド名でギグを行いました。その後、ラントンが抜け、ミック・スラットリー(Gt)が参加。このような極初期のメンバーとの邂逅などがあり、2000年のリユニオンギグでのメンバー集めでは大変な功労者だったと思われます。リユニオンの実施の裏でギャラの支払いなどのゴタゴタがあり、旧メンバーの大半はニックとの活動を選び、ニックは NIK TURNER”S HAWKWIND と名乗ったりしていましたが、2つのホークウインドの存在はファンが混乱するということで、ブロック側が訴訟し勝訴、その後ニックは SPACE RITUAL をバンド名にすることになります。
2003年にはデイヴ・アンダーソン(B/Gt/Vo)が参加、オリスの息子サム・オリス(Drs)も帯同。