COVID-19の影響で予定していたフェス参加(4月のHRH、8月のBEAUTIFUL DAYS)は延期や中止になっています。7月のRAMBLIN’ MAN FAIRもこの状況ですと中止か。その中で8月下旬に予定していた恒例のバンド主催イベントHAWKFESTについても公式Facebookページで、ファンに意見を聞いていますが、今年は中止にして欲しいという意見が大勢を占めています。その中でライブ配信をしたらどうかという意見もありますが、ブロックのデボンの農場ではネット回線がかなり遅いとのことで実現は難しいようです。
ジェリー・リチャーズ率いるホウクローズですが、昨年10-11月のツアーの模様をレコーディングしたライブアルバムALIVE IN CONCERTを今月29日にリリース予定。
現メンバーのリチャーズ、デイヴ・ピアース、トム・アシュースト、デッド・フレッドの4人にゲストでニック・ターナーが参加したもの。大半がバンドの曲ですがターナーが参加しているので、Master Of The Universe、Brainstorm、ターナーのソロアルバムよりSR-71を収録。昨年リリースされた最新作HEAVEN’S GATEまで参加していた古参のハーヴィー・ベインブリッジですが、このライブアルバムの収録されたツアーには参加していませんでした。その後バンドの公式Facebookページのバンドメンバーにもクレジットがないので脱退したのかもしれません。リーヴスは良いキーボード奏者ですが、ベインブリッジのシンセ類がなくなるとスペイシーさが減ってしまう懸念が出てきますが、どうだろう。ホウクローズのディスコグラフィはこちら。
ジャーナリストのジョー・バンクスの執筆したホークウインドのバイオグラフィ本DAYS OF THE UNDERGROUNDが発売されます。
Joe Banks / Hawkwind: Days of the Underground (STRANGE ATTRACTOR)
NIK TURNER / THE FINAL FRONTIER (PURPLE PYRAMID – CLO1195 / 2019)
本年2月にニック昨今のリリース拠点であるLAのクレオパトラより発売された新作。サポートはここ数年続いているニッキー・ギャレット(G)、ユルゲン・エングラー(Key/G/B)らの若手。ギャレットのバンド、へーダースレーベンのメンバーに加えて、前作LIFE IN SPACE?同様ホークスOBはサイモン・ハウス(Vln)が全面参加。そしてポール・ルドルフ(G)は1曲のみ参加。
NIK TURNER / LIFE IN SPACE (CLEOPATRA CLO0605) 2017
前作SPACE FUSION ODDYSSEY(2015)から2年、新作LIFE IN SPACEがリリースされました。ここ数年のソロ作同様、米CLEOPATRAからの発売で1CD版と500枚限定2LPという2種のフォーマット。
1曲目のEnd Of The Worldがクレパトのサイトでシングル曲としているので、のちにアナログEP盤がリリースされるかもしれません。
オープニングナンバーEnd Of The Worldはルドルフが唯一参加した曲ですが、ワウのかかったギターをバッキングで弾いてるだけで特に強い印象はありません。メランコリックなバラード曲でニックのリードボーカルも優しげな歌い方。HEDERSLEBENでも多用されているメロトロンのストリングス音にフルートが絡みます。
2曲目Why Are You?はハードなギターリフをメインにした演奏ですが、そこにメロトロンが乗り、サックスソロが展開。ニックのボーカルは歳のせいか、かなり抑えた印象。
続くBach To Earthはギャラット作。アコギにフルート、そしてハウスのバイオリンの主題演奏とアコースティックなナンバー。アコギの上でプレイされるバイオリンとフルートの絡みがとても美しい。ホークスでは見られない演奏ですが、この組み合わせはある意味、ありそうでなかったと思わせます。
4曲目Secrets Of The Galaxyはホークス風ハードロック、中間部ハウスのバイオリン、ニックのサックスと続きます。後半は電子音だけになっていく変な曲。エングラー作。
Universal Mindはミドルテンポで朗読風ボーカルとフルートを生かした曲。
インスト曲Approaching The Unknownは森の中にいるごとく鳥の鳴き声のSE、持続音が流れる中ギターリフとタイコのリズムが続きます。
As You Wereもノイズや各種SEが流れる中、スローテンポで始まったリズムがギターのコード演奏とともにテンポアップ。ニックはサックスのアドリブ。
ラストはお馴染みMaster Of The Universe。イントロのギターリフにハウスのバイオリンが乗ってくるあたり嬉しい。最初のコーラスが終わた後の中間部はニックのサックスソロ。Aメロが復活するときはハウスのバイオリンも入ってきて終了。もうちょっと長くやってもいいかなと思いました。
おそらく今回もクレパト側でアーティストのマネージメントをしたものと思われます。
現在もUKやEUで来日時のユニットによるギグを行なっています。アルバムプロモーションツアーは10月15日から11月一杯かけて全米で行われる予定。その際はHEDERSLEBENのメンバーがバックになることでしょう。
セットリストは、まずは昨晩通りの順で進みました。
Welcome
Born To Go (HAWKWIND/SPACE RITUAL ’73)
Watching The Grass Grows (INNER CITY UNIT/PASSOUT ’80)
Cybernetic Love (PROPHETS OF TIME ’94)
Fallen Angel STS-51-L (SPACE GYPSY ’13)
Sonic Savages (SPACE RITUAL/OTHER WORLD ’07)
Walking Backwards (SPACE RITUAL/OTHER WORLD ’07)
と続き、
Time Crypt (SPACE GYPSY ’13) 昨夜に引き続き、歌詞の書かれたメモを見ながら歌うニック。
D-Rider (HAWKWIND/HALL OF MOUNTAIN GRILL ’74)エンジェルの絶唱が冴えていました。前日より明らかに聞き取れました。
ここまでは昨夜と同じ。
Jam Session 1
ここでジャムセッション風の4分程度のジャズナンバーの演奏。バンドの演奏力の幅を感じさせ、特にベースのG.スマートの演奏が効いてます。
この後は昨夜の順に戻ります。
Sttepenwolf (HAWKWIND/ASTOUNDING SOUNDS AMAZING MUSIC ’76)
Solitary Ashtray (INNER CITY UNIT/PASSOUT ’80)
Orgone Accumulator (HAWKWIND/SPACE RITUAL ’73)
Children Of The Sun (HAWKWIND/IN SEARCH OF SPACE ’71)
Master Of The Universe (HAWKWIND/IN SEARCH OF SPACE ’71)
間髪入れずに
Dangle From The Angle (NIK TURNER’S KUBANNO KICKASSO ’03)
原曲が9分くらいありますが同様の長さで楽しげなジャムを繰り広げます。ベースソロ、ドラムソロ、サックスからフルートに持ち替えるニック。
そして、いよいよ
Silver Machine (HAWKWIND ’72)
歌詞はイントロからニックが独自にボーカルかぶせていくニックバージョン。演奏は延々引き伸ばして、サビの I Got A Silver Machine をハンドマイクをフロントローの観客一人一人に差し出し歌わせていました。
ここで終了しそうなニックに、まだ次の曲ありますって感じで、ゲイリーやスティーヴがニックに耳打ち。これも昨夜やれなかった
Something’s Not Right (SPACE GYPSY ’13)
観客のmoreコールを受けてのラスト1曲はロックロール。ニックはこういう時、本当に楽しそうですね。
Jam Session 2
サンダーライダーとしてスペースロックの権化のような存在ですが、元はチャーリー・パーカーやコルトレーン、マイルス、ジェームズ・ブラウンなどにシビれているので、出自を感じさせる瞬間です。
新宿MARZで行われている NIK TURNER NEW SPACE RITUAL の公演、昨夜のレポートです。
売れ行きが良くない予感がしていたのですが、平日夜ということもあってか、やはり観客は少なく50人いない感じでした。今夜は土曜日ですし、私が購入したチケットの通し番号的に、今夜はもっと多いと思われます。
MARZは箱としては大きくないので、前の方はそれなりに観客がいましたが、逆にゆとりを持って観れました。
アンダーソン、スラットリー、クランブル、オリスと順にオールドメンが、次々に抜けていった SPACE RITUAL ですが、結果的に若返りしてICUの初期のようなポジティブでアクティブな力を発揮することになったということです。ニックの公式サイトでは、BRAND NEW SPACE RITUAL と呼んでいますね。
Children Of The Sun -探求のあの曲。途中エンジェルがLEMMYと書いた白い翼を掲げます。
Master Of The Universe -SAPCE RITUAL!というニックの掛け声で、自身作曲の名曲。観ているこちらもだいぶ疲れてきてますが、リズム隊は衰え知らず。
最後にメンバー紹介、合わせてビニールジャパンの中谷代表への謝辞。
そして Brainstorm -もう何も言うことないですね。
舞台袖には一回も戻らずにアンコール的にやった曲は
Dangle From The Angle -これはニックの別働隊のFANTASTIC ALL STARS のアルバム NIK TURNER’S KUBANNO KICKASSO (03) に収録されているオリジナル曲。ラテンジャズナンバーをロック風にして、ベースソロを入れたり、楽しく演奏。
NIK TURNER OF HAWKWIND / LIVE AT DEEPLY VALE FREE FESTIVAL 1978 (OZIT-MORPHEUS RECORDS OZITCD 0053) (00)
NIK TURNER OF HAWKWIND / LIVE AT DEEPLEY VALE FREE FESTIVAL (00)
78年にヒレッジや HERE AND NOW などと参加した DEEPLY VALE FREE FESTIVAL での演奏やその他フェスなどの演奏が収められています。反復するリズムを演奏するロックバンドをバックにフルートやサックスを演奏、ジャムセッションのような感じです。サウンドボードからのテイクですがモノラルです。
またこの頃、THE POLICE の前身バンド STRONTIUM 90 の関連で、GONGのM.ハウレット、H.ウイリアムソンの企画した反核ソング Nuclear Waste 制作のためスティング、ヒレッジなどと FAST BREEDER & THE RADIO ACTORS に参加。スティングのボーカル曲でサックスを吹いています、
INNER CITY UNIT
80年に入ると、ニック自らのバンド SPHYNX をパンクロックバンド INNER CITY UNIT に変貌させます。T−REXにいたスティーヴ・ペレグリン・トゥックのバンド Steve Took’s Horns が解散したところ、そのメンバーに声をかけ結成。トレヴ・トムス(Gt)、デッド・フレッド(key)などのメンバーとともにアグレッシブなポストパンクを演奏。1stアルバム PASS OUT を80年にリリース。
INNER CITY UNIT / PASSOUT (RIDDLE RID002) (80)
S.トゥックはICUのギグに客演していましたが同年ドラッグで若くして逝去。アルバム収録の Watching The Grass Grow はその後復帰するホークスでも取り上げる曲、その他 Master Of The Universe などのホークス曲もカバーしています。
翌年2ndアルバム The Maximum Effect を発表。同年12月にニックがホークスのステージに客演、82年中頃からは完全復帰、ICUと並行して活動。
INNER CITY UNIT / THE MAXIMUM EFFECT (AVATAR AALP 5004) (81)
THE IMPERIAL POMPADOURS / ERSATZ (POMPADOUR POMPOD1) (82)
この作品の勢いに乗るように、新作 PROPHETS OF TIME を同年年末にかけて制作。前作のメンバーに加え、元ホークスのサイモン・ハウス(Vn)、同じ CLEOPATRA から作品をリリースしてた PSYCHIC TV のジェネシス・P・オリッジ(Vo/Syn)、CHROME のヘリオス・クリード(Gt)などが参加。
さらに翌94年1月から2月にかけて、全米40ヵ所以上にわたる SPACE RITUAL ツアーが実施されました。アルバムのメンバーに加え、デル・デットマー(VCS3)、アラン・パウエル(Perc)らの元ホークスメンバーが参加、ライブレコーディングされます。その名の通り「宇宙の祭典」を再現するような選曲でオーディエンスは熱狂し評判が良く、本家と混同する聴衆も多かったようです。
NIK TURNER / PROPHETS OF TIME (CLEOPATRA CLEO69082) (94)
NIK TURNER / PROPHETS OF TIME (94)
そしてアルバム PROPHETS OF TIME が CLEOPATRA から発表。前作のテイストを引きながら、より力強い作品となりました。
NIK TURNER / SPACE RITUAL 1994 LIVE (95)
95年には前年の SPACE RITUAL ツアーのライブ盤 NIK TURNER – SPACE RITUAL がCD2枚組でリリース。日本ではキャプテントリップレコードが販売。アメリカでのツアーは95年も実施、ここでもライブレコーディングされ、翌96年 PAST OR FUTURE? としてアルバムリリースされることになります。
NIK TURNER / SPACE RITUAL (CLEOPATRA CLEO 9506-2) (95)
NIK TURNER PAST OR FUTURE? (CLEOPATRA CLP 9685-2) (96)
ホークスの旧メンバーとのギグを重ね2000年には、H.L.ラントン(Gt)、T.オリス(Drs)、T.クランブル(B)、ロイド・ジョージ(Syn)というメンバーで 2001 A SPACE ROCK ODYSSEY というバンド名でギグを行いました。その後、ラントンが抜け、ミック・スラットリー(Gt)が参加。このような極初期のメンバーとの邂逅などがあり、2000年のリユニオンギグでのメンバー集めでは大変な功労者だったと思われます。リユニオンの実施の裏でギャラの支払いなどのゴタゴタがあり、旧メンバーの大半はニックとの活動を選び、ニックは NIK TURNER”S HAWKWIND と名乗ったりしていましたが、2つのホークウインドの存在はファンが混乱するということで、ブロック側が訴訟し勝訴、その後ニックは SPACE RITUAL をバンド名にすることになります。
2003年にはデイヴ・アンダーソン(B/Gt/Vo)が参加、オリスの息子サム・オリス(Drs)も帯同。
Nik ‘Thunder Rider’ Turner (sax, flute, vox)
Gary Smart (bass)
Steve Jones (guitar)
Chris ‘Mekon’ Purdon (electronics)
Charlie Scarr (drums)
Ms Angel (dance, vox)
初来日時は本家分家とか関係なく(ブロックによる訴訟によりニックがホークウインドを名乗ることができなくなったのはもっと後の2000年代です)、とにかくあのホークスのステージが日本で見れるというだけでみんな大興奮でした。
ニックのソロ名義で、すでにリリースされていた95年の SPACE RITUAL、96年の PAST OR FUTURE? の2枚がニックバンドのステージを様子を伝えており、
SPACE RITUAL (95)
PAST OR FUTURE? (96)
ホークス時代の名曲をLA若手のバンドやホークス旧メンバーと共にパワフルかつギンギンに再現、その当時のブロック率いるホークウインドよりも魅力的に感じるファンも多かったですね。あの頃の船長はと言えば、ALIEN 4、そのツアー、そして LOVE IN SPACE などのリリースを行っており、そちらはそちらで充実してましたが。
その時の来日メンバーは、
Del Dettmar(VCS3 wood axe synth)
Simon House(Vn)
Alan Powell(Drs/Perc)
らの旧友が参加していたことも話題になりました。
その他のメンバーはLAのバンド Pressurehed のメンバー
Tommy Grenas(Gt)
Doran Shelley(Gt)
Len Del Rio(Synth)
Paul Fox(B)
それに同じくLAの Farflung のドラマー
Brandon LaBelle(Drs)
以上総勢9名でした。
東京公演では非常階段のJOJO広重さんが Silver Machine に飛び入り参加されていました。今回の大阪 LIVE SPACE CONPASS では、非常階段の客演がアナウンスされています。
96/3/17 NIK TURNER’S HAWKWIND 東京公演(渋谷ON AIR WEST)のセットリスト
Intro – Dream Worker
Watching The Grass Grow
Kadu Fyer
Master Of The Universe
Spiral Galaxy
Dying Seas
Soul Herder
Opa Loka
Lord Of The Hornets
Highrise
Thoth
Ejection
Audio Energy
Orgone Accumulator
10 Seconds Of Forever
Brainstorm
アンコール
Silver Machine
Shouldn’t Do That
In The Mood(Sax Solo)
God Rock(Flute Solo)
ニック共著の THE SPIRIT OF HAWKWIND のおまけのEPは73年5月の SPACE RITUAL 発売時のプロモ盤を再現しています。収める布袋も再現しています。オリジナル盤と比較してみました。
この画像では左が今回の本の付録となったレプリカ、右が当時のオリジナルです。一目で分かるのはレプリカはホワイトビニールということ。
布製袋の質感は似ています。若干生地が薄手ということと、縫製の仕方が異なっていますが、大きさも同じで雰囲気は十分再現されているかと。赤い刷り文字の形もほとんど同じ。レプリカの方が文字サイズが少し大きく赤い色については、より濃い赤です。オリジナルは42年の歳月で色褪せしているはずなので単純に比較できませんが。
大きな違いはオリジナルは裏にも赤文字が刷られていますが、レプリカは片側だけです。それぞれを裏返した画像がこちら。
盤は片面だけのカッティングというのも同じ。収録テイクは SPACE RITUAL に収められている同題曲をシングルカットしたもの。始めと終わりはフェードイン、フェードアウト。オリジナルと聴き比べると、入りのところと終わりのところ、僅かに位置が違うので、今回のレプリカ用に新たに抜き出したものと思われます。曲の時間は2分54秒くらいでほぼ同じです。
レーベルは周囲の文字も同じように再現していますが、オリジナルは MANUFACTURED IN ENGLAND となっていますが、レプリカは正直に IN USAとなっています。さらにレプリカは DEMI MONDE RECORDS の版権との記載があります。DEMI MONDE はデイヴ・アンダーソンの非公式音源をリリースしているレーベルなので、そんなわけないと思いますが、この辺りは勝手仕様という感じかと思われます。
オリジナル盤のレーベル。ビニールコーティングされています。
今回のレプリカEPのレーベル。