熟達のエレクトロ回帰 新作『THERE IS NO SPACE FOR US』

Hawkwind / Tgere Is No Space For Us - Galaxy Vinyl Edition

ギャラクシー・ヴァイナル・エディション

Hawkwind / Tgere Is No Space For Us

一見黒い盤ですが、光にかざすと宇宙を思わせる濃紺のマーブル模様のレコード。ホークウインド の最新作『ゼア・イズ・ノー・スペース・フォー・アス』のダブル・ギャラクシー・ヴァイナル・エディションが届きました。このギャラクシー・エディションはラフ・トレードのエクスクルーシブとチェリー・レッド公式ストアでも販売されました。私はラフ・トレードから購入、梱包資材が印刷の入ったものとなってカッコ良くなりました。

ROUGH TRADE percel

冒頭からシンセ・シークエンス

参加メンバーはここ数年不動のラインナップ、ブロック、チャドウィック、マーティン、ルイス、マッキノンの5名。オープナー「There Is Still Danger There」の冒頭、シンセベースのシーケンスから開始。各種の電子音&ノイズ、ブロックのボイスに続きギターリフを含めたリズムが加わり進行。3分半ほどで表情が変わりスローテンポになりチルアウトするという変化を見せます。そのまま2曲目に入りアルバム冒頭のシンセシーケンスが復活。その上でパッド音やブラス風シンセによる演奏が進行。このあたりで今作がジャーマン・エレクトロニクスに近似した傾向にあることが感じ取れます。ブロックに加えてルイスが作曲に参加していることで、彼の個性が発揮されています。この2曲でボーカルメロがなく14分、90年代のトリオ期のアルバム『IT IS THE BUSINESS OF THE FUTURE TO BE DANGEROUS』(このアルバムは異色すぎて正規国内盤としては未リリース)を思わせます。3曲目「The Co-Pilot」でブロック流バラードでようやくバンド演奏となります。この曲はラテン風リズムが特徴的。最近の一部の曲はラウンジミュージックと称されたりしますが、その傾向は今作でも顕著です。イケイケ・ナンバーがあってその中にこのような曲がある場合はいいんですけど、今回イケイケな曲がありません、そこが今作のネックかなと思います。

続く「Changes」は軽快なギターリフをベースにした爽快系ナンバー。ボーカルのAメロに続いてブロックとマーティンのギターソロが伸びやかに奏でられます。タイトルナンバーもブロックとマーティンの共作。アコギをバックにしたブルージーなイントロ、ギターソロが入ってテンポアップ、ブロックのボーカルは破滅に向かう人類への警鐘であり、このアルバムのテーマです。「The Outer Region Of The Universe」タイトルの通り深遠の宇宙を思わせるイントロからミドルテンポのリズムに乗せたギター、シンセ、ボイスなどが流れていく。「Neutron Stars」電子音の導入部から荒々しいギターリフによるハードロックとなり、電子音の飛び交うホークスらしいナンバー。終曲「A Long Long Way From Home」はギターのメロ、アコピのソロが美しいラストを飾るにふさわしい曲。アルバム全体を貫くディストピアなイメージから救われます。

近作の中では重いテーマとともに重厚感のある曲調で、メロハーなナンバーが含まれていないこともあり地味な印象ですが、本国メディアでもレビューされているようにベテランにしか醸し出せない作品であることは確かです。

Hawkwind / Tgere Is No Space For Us
LPレコードジャケットの内側。
Hawkwind / Tgere Is No Space For Us
レコード盤は一見黒に見えます。通常の黒ヴァイナルもリリースされています。

LPのボーナス・トラックは既出

この2枚組LPのSIDE DはCDエディションには含まれないボーナストラック2曲(Practical Ability / Second Chance)が収録されていますが、前作のライブ『LIVE AT THE ROYAL ALBERT HALL』のCDボックスセットのDISC 3のリハーサルテイク集に含まれていたものです。せっかくなら新しいものが聴きたかった〜。

By HawkwindDaze

日本のホークウィンド・ファン・サイトの運営。2000年から同サイトの運営を続けています。

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