SPIRITS BURNINGの新作はマイケル・ムアコック/ブルー・オイスター・カルト/ホークスメンのコラボ

カリフォルニアでプログレ、スペースロックを長年展開しているキーボード・プレイヤー、ドン・ファルコネのSPIRITS BURNINGの最新プロジェクトはマイケル・ムアコックとの連名。そこに過去にも招聘したことのあるBLUE ÖYSTER CULTのアルバート・ブーチャードが作曲、ボーカル、各種楽器の演奏でコアスタッフとして参加した企画もの。

SPIRITS BURNINGは、デヴィッド・アレンを招いてのアルバムから、ブリジット・ウィシャートとのコラボ、CLEARLIGHTのシリル・ヴェルドーなどサイケ&スペースロック関連のアーティストとの共作を意欲的に展開してきました。

ウィシャートとのコラボをはじめ、過去参加したホークスメンは、ざっと見渡すと、アラン・デイヴィ、ハーヴィー・ベインブリッジ、スティーヴ・スインデルズ、サイモン・ハウス、ダニー・トンプソン、ポール・ヘイルズ、リチャード・チャドウィック、スティーヴ・べマンドなど。

今回はムアコックの全面的な協力(作詞、バックコーラス)のもと、アルバート・ブーチャードに加え、ドナルド・バックダーマ・ローザー(ボーカルでの参加ですが)、リッチー・カステラーノなどのBÖC勢の参加、そこにホークス関連はミック・スラットリー、エイドリアン・ショウ、ベインブリッジ、ウィシャートらが参加。

ホークスとBÖCに直接的な関係はありませんが、ムアコックが関わったロックバンドという共通点、英米では双方好きだというファンが多いという共通点もあります。

今回、ファルコネがムアコックとのプロジェクトを行うにあたり、当然のようにムアコックの関わった英米2バンドの関連ミュージシャンにコンタクトし双方の顔合わせとなったわけです。アルバムタイトルのALIEN HEATはムアコックの小説のタイトル、各曲もムアコックの小説と関わりのあるコンセプトで構成されています。ブーチャードが大半の作曲にかかわっているため、BÖCテイストが濃い印象ですが、元々のSPIRITS BURNINGらしい軽めのサイケ調な曲調と相まって、BÖCほどのハードロック感は薄いです。また、ムアコックのソロアルバムにみられるブルージーなカントリー調もあり、今ムアコックがソロ作リリースしたらこうなるんじゃないかという感じもあり、そこそこ楽しめました。

BÖCは、USのベテランバンドらしくテクとセンスも素晴らしいグループ。その名の通りカルトな魅力に溢れているバンドで、どのアルバムも時期ごとに特徴があり楽しめますが、私は後期というか80年代後半からの作品も好きですし、構成美という点で、88年のIMAGINOSが特に好きです。

日本盤はオカルティックなタイトルが多く、それ方面と思われがちですが、基本は陽気で幅広い音楽性に富んだUSハードロックであり、その中のバリエーションとしてコンセプチュアル志向な曲とか、リフのかっこいい曲など、巧みなアレンジによってバラエティ豊かに展開。それらでセンス良いギターを弾くバックダーマ、高域を活かしたブルームのボーカル、ツボを得たキーボードワークの故アラン・レニアーなど役者も揃っています。キリがないのでBÖCについてはまたの機会に。

ムアコックの久々のロックシーンへの接近ですが、USでの住まいのあるオースチンのローカルサイトに最新インタビューが掲載されています。

https://www.austinchronicle.com/daily/music/2019-03-28/qa-michael-moorcock-plays-hawkwind/

なんと自身のバンドDEEP FIXは未だあるようで、おそらくUSに移住してからも、現地のミュージシャンと何らかの活動があったようです。ただ神経障害があり、ハーモニカをプレイするくらいしかできないとのこと。

そしてホークウインド についても語っています。ターナーとブロックの確執については、双方の言い分も分かるとのこと。しかし、スタンスとしてターナーに賛同しており、ターナーとの共演はする方向とのこと。同じようにUSに移住しているアラン・デイヴィとも継続的にコンタクトしており、今回NORTH AMERICAN SPACE RITUAL 2019への出演が決定。ターナー、デイヴィとMOONHAWKSというプロジェクト名で3月29日30日に出演しました。

atomhengeレーベル 3CD Box Set  70年代中盤から90年代の入門用に最適な選曲

 CHERRY RED RECORDS 傘下、ESOTERIC RECORDINGS レーベルによるホークス関連リリースとして立ち上がった atomhenge から、旧作群の再発にさきがけて、先月リリースされたアンソロジーボックスセット。atomhenge が今回ホークスと契約した該当期間(76〜97年)にリリースされた曲をコンピレーションし、2つのセットとしてリリースされました。来年初頭から、各アルバムが順次リリースされます。

SPIRIT OF THE AGE -AN ANTHOLOGY 1976-1984(ATOM BOX 3002)

SPIRIT OF THE AGE -AN ANTHOLOGY 1976-1984

紙ボックスの表紙は、シングル Back On The Street の写真をアレンジしたもの。中には紙スリーブ3つに各1枚CDが入っています。やや厚手のブックレットには、イアン・エイブラハムの76年〜84年までのヒストリーと各収録曲が発表されたアルバムジャケと解説が記載。
76年の ASTOUNDING SOUNDS, AMAZING MUSIC から始まる CHARISMA レーベル期から、79年復活期、80年代初頭のRCA期、中盤のFLICKNIFE期までを網羅。

 注目の未発表テイクはオープニングの Reefer Madness full extended version。中間部のインスト部分が本来はかなり長い演奏だったことが判明。LPアルバム収録時に削ったと思われます。既存テイクでは2コーラス歌われた後、ハウスのシンセソロにニックのサックスソロが絡むプレイに突入しますが、そのサックスソロまでの間にカルバートのコーラスとハウスのソロが延々と続く演奏となっていました。もともとブロックのカッティングギターが特徴的なナンバーですが、この部分が長いことで、反復感が強調されホークスらしさがより印象的なものとなっています。当時シングル発売された KERB CRAWLER のB面 HONKY DORKY はこの部分を抜き出したものと判明。
特に CHARISMA 時代のトラックの音質が向上し、各トラックの分離感、楽器の聞き分けがクリアになっています。

 HAWKLORDS 名義の25 Years は12インチシングルのロングバージョン、その他2曲は曲終盤がアルバムでは次曲のあたまとクロスフェードしていましたが、そこを重ねない編集となっているだけ。Angels Of Death は7インチシングルバージョンでした。
70年代中盤は、こうして改めて聴くと、S.ハウスのフィーチャーが高くサウンドの要だったと感じます。79年の復活ホークスの元気さや LEVITATION の頃のカッコ良さなど、初期とはまた違った魅力に溢れています。
代表曲はすべて網羅されていますので、カルバート期以降未聴な方には入門用として最適なセットかと思います。

DREAM GOES ON: -ANTHOLOGY 1985-1997(ATOM BOX 3003)

DREAM GOES ON: -ANTHOLOGY 1985-1997

続く85年の BLACK SWORD から97年の DISTANT HORIZON までを網羅したセット。この時期の名ライブアルバム LIVE CHRONICLES 以降、レーベルを GWR に移し、引き続きコンスタントにアルバムをリリースしていきますが、90年のS.ハウスの参加、初の女性ボーカルB.ウィシャートの起用など、それなりに新しい試みや、92年からのトリオによる活動などを続けていきます。オープニング曲は比較的威勢のいいナンバーが多いのですが、アルバムがアナログ2枚組リリースが増え、曲数がますます増加。その点でこのセットも選曲はツボを得ていると思います。ALIEN 4 で新メンバー、R.トゥリーを加え、4人編成となり、その後A.デイヴィの脱退、新ギタリスト J.リチャーズが加わるなど、メンバーの出入りが頻繁になってきた頃でした。

EBSレーベルでのリリースまでが、今回の再発シリーズとなっているため、セットもそこまでのセレクトとなっています。こちらは未発曲はないので、この頃を知っているファンには、あまり意味がないかもしれません。

マイケル・ムアコック3rdアルバムリリース
The Entropy Tango & Gloriana Demo Sessions


 近年、上記 atomhenge の ESOTERIC レーベルから1stアルバムが再発された、M. ムアコック&ザ・ディープ・フィックスですが、今月UKのマイナーレーベルから、通算3枚目となるアルバムがリリースされました。80年代に元HIGH TIDE のピート・パヴリとデモを多く録っていたのですが、それらを集めたアルバムとなっています。管理人は、この頃のデモテープを入手していたので、何曲かはすでに聴いていました。バンド編成ではなく、パヴリのチェロやキーボード、ギターのみという編成で、内省的な作風です。まだ今回のアルバムは未入手ですので、届き次第レポートします。